第3話
100メートル位進むと杉林の中から突然、全身白装束で宇宙人みたいな2人が現れた。頭には白いヘルメットをかぶり目は色付きのゴーグルで覆っていた。「おい ここは立ち入り禁止だ」威圧的で鬼気迫る声がとんできた。僕たちは一瞬ひるんだが芳夫が「何を怒っているんだ、」芳夫はふてくされながら言い返した。「とにかく出ていってくれ」再び彼らは畳み込んできた。僕は芳夫に目合図で促した。2人は釈然としないながらも無口になり、ぶらぶらと山を下って行った。
その後学校では芳夫とは何度かあったがいつしかそのことは口にしなくなった。
中学3年も終わりに近づき僕も芳夫も互いに進路を決めていた。僕は地元の県立高校を目ざし芳夫は隣町の私立高校に決めていた。芳夫は卒業後は職人を目指すと言っていた。僕は普通に大学に進学し、それから決めようと思っていた。
互いに高校へいってからは時間のサイクルが違うのでだんだん疎遠になっていった。芳夫は相変わらず野山を飛び回っていると聞いていた。ため池にも何度か通って巨大ぎょを釣ったという話も聞いていた。 後に僕は東京の私立大学に入り東京に住むことになった。新しい生活に慣れ田舎の事はすっかり忘れていたが夏になると田舎に帰りたくなった。夏の東京は居心地が悪く耐え切れなかったのだ。
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