第2話 10年前
10年前、中3の時だった、僕と同級生の芳夫は町の北側に連なる標高300メートル位の山中をよく歩いていた。家から山裾まで自転車で30分位の距離なので帰宅組だった2人は有り余る体力にまかせて良く通っていた。その日も2人は梅林公園の中を通り過ぎ、ため池に向かった、ため池は相変わらず満々と水を貯え透き通っていた、2人は魚影を確認すべく目を凝らした、すると1メートルくらいの黒い物体がため池の淵をすーと横切った。芳夫が小さな声で「見たか」「うん見たぞ」僕は少し息を詰まらせて芳夫の顔をのぞきこんだ、「あんなデカいのがいるのか」芳夫は興奮した声で釣ってみたいと言い出した、僕は「罰が当たるよ」と芳夫をたしなめた、芳夫はそんなの迷信だと取り合わなかった。2人は意外なものを見た興奮で足をさらに奥に進めた、しばらく山あいの道を上ると杉の木がきれいに植林された斜面に出た、道路わきには大きな看板が立っていて「立入禁止」とかいてある。勾配がさらにきつくなった道を上ると今度は「通行止」の柵に行き当たった。芳夫は「なんなんだこんな山の中を」と納得しない様子だった、柵を迂回して行こう
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