第16話
その後、先生の家の前にはパトカーが止まり、先生が家から連れ出されていた。
クニヒコが見たとおり隠し部屋の奥から沢山の猫たちが出てきたようだ。
「君たちのおかげで猫の命は助かったよ、ありがとう」
最初に連絡した警察官にそう言われると少しだけ照れてしまう。
先生が持ち出したゴミ袋の中身はただのゴミで、猫たちは無事だったのだ。
そして数日後。
クニヒコとタカシの2人は猫殺しの犯人を特定したということで表彰され、それが全校集会で発表までされてしまった。
「すごいじゃん2人共!」
「見直したぞ!」
C組の教室へ入るとクラスメートたちが群がってくる。
クニヒコとタカシの2人は照れくさそうに頭をかいた。
どうして先生があんな事件を起こしたのかと言えば、日頃のストレスが原因だったそうだ。
2年連続で受験生を受け持つ担任として毎日残業をして、家に帰っても仕事づくめの生活をしていた。
そんな生活での唯一のガス抜きが猫殺しだったというわけだ。
先生がやったことはもちろん許されることじゃない。
だけどこれをきっかけに教師の労働状況について議論され、色々と変化していく兆しを見せていた。
「2人がそんなに仲良くなってるとは思ってなかったなぁ」
休憩時間中、クニヒコとタカシが2人で話をしているとハルカがやってきた。
「ハルカちゃん」
途端にタカシの頬が赤くなる。
それに釣られるようにしてクニヒコの頬も赤くなった。
今更ながらタカシが自分のことをライバルだと言っていた理由を思い出してしまった。
「だけどいいよね2人共青春って感じでさ!」
ハルカに言われてタカシとクニヒコは顔を見合わせた。
本当の青春はハルカを中心にしてまだまだ回って行きそうだけれど、ハルカはそのことに気がついていない。
「そうだハルカちゃん、数学を教えてあげようか」
タカシが思いついたように言う。
「それより歴史について一緒に勉強しようよ。面白いから」
クニヒコも負けじとハルカを誘う。
突然バチバチと火花を散らし始めた2人を見て、ハルカはキョトンとした表情を浮かべていたのだった。
☆☆☆
こんにちは闇夜ヨルです。
今回は歴史メガネという不思議なメガネを拾ったクニヒロ君のお話でした。
ライバルに勝つために手に入れたメガネでしたが、いい結果を生んでくれたみたいですね。
ちなみのあのメガネは先生の家で落とした後、忽然と消えていたようです。
次はあなたの元にやってくるのかも……。
なーんてね。
では次のお話を覗いてみましょう。
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