第3話 互いに、素直に1/4

「やっほーお待たせっ」


「安定の5分遅刻ですね」


 ノースリーブの黄色いワンピースを着た夏希さんは、夏だというのに汗一つかかずカフェにやってきた。


 さては、遅れているのに走らず歩いて来たな。


 彼女は私の考えを見透かしたように、

「これでも急いだんだよー」

 ハンカチで額を拭った。


 嘘つけ。


 まぁ……今日も遅れてくれたおかげで、心の準備がゆっくりできたんだけどね。


「季里ちゃん注文は?」


「まだです」


「んじゃあ、すみませーん」


 店員さんを呼び、彼女はアイスコーヒー、私はウインナーコーヒーを頼んだ。


「にしても、季里ちゃんからのお呼び出しなんて初めてだねえ。お姉さんビックリしちゃった。しかも直接カフェで待ち合わせ。これも初めてだねえ」


「そうですね」


 先週美里姉さんに励まされてからちょうど1週間経った昨日、初めて私の方から連絡して、今日会う約束をした。


 場所も指定して。


 ここは私が行きつけのカフェだ。この間行った店みたいに甘ったるいパンケーキはないけど、ケーキもコーヒーも美味しい。


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