第2話 常識的に3/4

 結局、隠していた恋心まで話すことになってしまった。


 どうしてこうなった。


「成程ねえ……いつからかわかんないけど、夏希さんのことを好きになっちゃったわけだ」


「いや、好きとまでは――」


「季里、自覚してないだろうけど、その人のことを喋ってるときのあんたの顔、今まで見たことがないくらい幸せそうなのよ」

 鏡持って来ようか?


「いやいやいや」


 立ち上がろうとした美里姉さんを慌てて止める。

 そんな必要ない……って、え? 待って。


「私、そんな顔してたの」


「うん。まさに、恋をしている乙女の顔」


 漸く視線が和らいで言ってくれましたけど、なんの慰めにもなりません。


 本日2回目のオーマイガーです。

 マジかあ。


 姉さんの言う通り、無自覚でした。


「それでは質問タイムです」


 手をパチンと叩いて、唐突に謎のコーナーが始められた。


 夏樹さんも不思議なひとだけど、この人も変なひとだったわ。忘れてた。

 あ、悪口じゃないよ。褒めてもないけど。


「一つ目、夏希さんの職業は?」


「えー……」


 答える必要なんてない。

 わかってるよ、わかってるけどさ、もうここまでバレちゃったら、どうにでもなれ的な。


「知らない」


「二つ目、夏希さんの年齢は?」


「三十手前」


「三つ目、夏希さんが季里をお金で買う理由は?」


「女の人が好きだから?」


「疑問形なのね、そこ」


 そういえば、真っ先に考えるべきだった。

 どうして私を買うのか。

 現金に目がくらんで……いや、意図的に考えることを避けていたんだ。


 他の女の人と同じような理由で買われていると思いたくなくて。


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