第11話

菊池視点


 私には好きな人がいる。だがその好きな人には変人な所があるんだよね。例えばどんな所かと聞かれたら、


 その好きな人から電話が来ている。


 「俺は今、トイレに座っている。」

 こんな所。

 

「セクハラ?」


「いや、そうじゃ無いよ!今俺はトイレをトイレとして使っているのでなく、ただ座っているだけなんだよ。」


「だから?」


「トイレの座り心地の良さ分かるだろ?」


本当になんで好きになったのかたまに分からなくなる。


 「トイレってさ、物凄く計算された作りになっているよね。丁度いい角度座れるし、程よい硬さがある、更に温かいまるで岩盤浴のように!」


「・・・」


「何より真ん中に空洞があるから、少し特別な開放感もある。」


「やっぱりセクハラ?」


「ちゃうよ!!とりあえず今俺は座っているだけなんだよ。」


「なら、なんで電話したの?」


「扉が開かなくなって出られないので助けてください。」

  本当になんで好きになったのかな?

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