第10話

  桜宮視点


 「容赦ねぇー」


「優勝はタッツー選手です。」


「やったぜ。」


「これ景品のカードボックス」

タッツーは地元のカードショップ大会に優勝した。地元の大会なので参加人数も多くなく、残りの参加者は全員小学生である。


 「タッツー流石に子ども達可哀想だよ。」


「良いんだよ!俺もまだまだ子どもだし。それに、」


「お兄ちゃん、はやく!」


「ちょうだい!ちょうだい!」


「はい、これ」

そうして、タッツーはカードボックスを開封し中身を参加者の子供たちに配っている。


 「えっ、あげちゃうの?私が今言ったから。」


「違うよ、俺は対戦がしたかったからこれは子ども達に最初から配るつもりだったんだよ。」


「そうだったんだ。」

確かに子ども達も、タッツーに迷いなくパックを貰いに行っている。きっと今までの経験からの行動だろう。

 

 「そうだよ。あっ、店長ボックス1つ下さい。」

 タッツーはみんなに配っているボックスを購入している。


「はいよー」


 そして、タッツーは

「君は凄かったね。準優勝おめでとう。汚い高校生が居なかったら優勝だ。はいこれボックス。」


「ありがとう、お兄さん。」


「良いってことよ!それよりまたやろうな!」


「ねぇ、タッツー?」


「どうしたの春?」


「これなら、普通に大会なしで対戦お願いすれば良いんじゃないの?」


「それは、大会だから意味があるんだよ。」


「なんで?」


「優勝したいのが一つと、普通に対戦したら子ども達同士で楽しくやっているのに大人の俺がその子ども達の仲で最強になるからだよ。」


 「?」


「上手く言えないけど、子どもには子どもだけの世界があるってこと。」

 タッツーは子ども達を見守るような優しい顔で見ている。


 「まぁいいや、とりあえずタッツーは子どもが好きってことだね。」


「そう言うことだね。」

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