第5話 先生の連絡先を知りたい!

 担任の柏木先生と2回エロ話をした俺。実際はちょいエロを含んだ雑談みたいなものだが、それでも楽しい時間に変わりない。


教師と生徒の関係上、他の先生に怪しまれる前に会話を終えて、職員室を出ないといけないのが辛いところだ。


先生と過ごすおしゃべりの時間を増やすには、どうすれば良いんだろう?



 翌日の放課後。柏木先生とタイミングをずらして、職員室に入る俺。

…他の先生はいないな。誰かに聴かれる前にお願いしよう。


「先生、お願いがあります!」


「何かしら? 坂口君?」


「先生の連絡先を教えて下さい!」

これなら、いつでも気兼ねなく先生と話せるけど…。


「理由を聴いても良い?」

先生の顔は“嫌悪”や“戸惑い”ではなく、純粋な疑問って感じだ。


「先生と2回エロ話をしましたが、とても楽しい時間でした。けど、他の先生に誤解される可能性があるから、長話できませんよね? だから、学校の外だったら気が済むまで話せると思うんですが…」


うまく説明できなかった気がするけど…。これで通じるかな?


「なるほどね…」


YESなのかNOなのか、どっちなんだ?


「坂口君。学校外で教師と生徒が必要以上に関わると、になるのよ」


「そうですよね…」

やっぱり無理か。仕方がないよな…。


「けど私を先生ではなく、“柏木かしわぎ奈々なな”という1人の人間として見てくれるなら、連絡先を交換しても良いわ」


「それって…、どういうことですか?」

遠回しに言ってるから、よくわからないぞ。


「つまり学校の外で話す時は、私とあなたは“友達”なのよ。友達に歳の差は関係ないし、話したいだけ話せるじゃない?」


「確かにそうですね」

先生と友達か…。急展開でビックリだ。


「この条件で良いなら交換するけど、どうする?」


「交換します!」

先生だろうが友達だろうが、話せる機会を増やしたいからな!


……俺と先生は、携帯を出してサクッと交換を済ませる。


「いい? 坂口君。もう1回確認するけど、学校の外で連絡する時は私を“先生”と呼んじゃダメよ。逆に、学校のいる時は“先生”と呼ぶの。…良いわね?」


そんなに気にすることなのか…? とはいえ先生の足を引っ張りたくないし、ここは素直に受け入れよう。


「はい、わかりました」



 他の先生達が次々と職員室に戻ってくる。タイムリミットだな。


「先生、俺は帰ります」

早速、今日の夜に連絡しよう。…何時ぐらいが良いかな?


「寄り道は程々にして、暗くなる前に帰るのよ」


「わかってますよ」


先生の心配事を程よく聞き流してから、俺は職員室を出た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る