第2話 ゲーマー
「あーくっそ! また負けた」
コントローラーを真下に投げつける。ぼふっと音を立ててベッドに埋まるコントローラーを見て、俺は倒れるように寝転んだ。これで何度目の敗北だろうか。つい数時間前に発売された新作RPGは、想像以上に難易度が高かった。
「なんだよこれ、クソゲーかよ」
口ではそう言うが、再度コントローラーを握り直す。敵が強いからこそ、勝った時の爽快感が半端ない。それを知っているからこそ、どれだけ愚痴を吐いても挑んでしまう。
画面に映るドラゴンを観察して、攻撃パターンに合わせた回避行動を行う。この作業にも慣れたものだ。先程は油断して攻撃を食らってしまったが、同じ失敗をしないように集中する。
ドラゴンの体力が減るにつれて、手汗が滲む。
あと少し……もう、少し!
勢いよくスティックを弾く。画面上の勇者が攻撃を放ち……ドラゴンの体力バーが消えた。途端にドラゴンの姿は輝きながら消滅し、宝箱が現れる。
「よっしゃー!!」
感極まってガッツポーズを取る。ほんと、途中で放り投げださなくてよかった。これだからゲームはやめられないんだよな。
セーブを忘れずに行い、一度電源を落とす。いくら好きといえ、十二時間ずっとプレイするのは疲れた。ドラゴン戦の時は特に集中してたし。
ちょっと休憩しよう。
ベッドに寝転がる。そういえば今って何時だっけ? あー、けど体動かすのも面倒くさい。
大きく伸びをすると俺は瞼を閉じた。
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