第3話 第二次日露戦争
朝鮮半島における戦闘が終結し、台湾戦線も膠着状態に陥っていた。
停戦や和平の動きが出始め多くの者が平穏が訪れることを期待した。
が、とある国がそれを阻んでしまった。
ロシアの欧州へと影響力を拡大させたいという意志がそれを阻んでしまったのだ。
西側諸国がアジアへと戦力を割いている間が好機と見たロシアはアジア戦線が終結しないように突如として北方領土、及び樺太から日本の北海道へと侵攻を開始。
事実上の奇襲攻撃により北海道は瞬く間に占領されるかと思われた。
が、日本はそれを予測していた。
海上、及び航空自衛隊はロシア方面の警戒を厳とし、ロシアから放たれたICBM等を撃墜。
続いてやってきた上陸部隊も迎撃に成功した。
というのもICBM等の遠距離攻撃に失敗したロシア軍は上陸支援を得られない事を悟り上陸部隊はすぐさま撤退。
殿を務めたロシア海軍と海上自衛隊による小規模な戦闘が繰り広げられたのみに終わった。
そして、次にロシアは制空権を握ろうと戦闘機を出撃させた。
中国も台湾戦線の膠着状態を打破したいという思いからロシアと共に日本へ戦闘機を派遣した。
この動きにアメリカ軍は日米安保条約により軍を派遣。
さらに西側諸国もアメリカと同調し航空戦力を派遣。
第二次世界大戦以来、平和を謳歌していた日本領内において大空戦が始まるのであった。
互いの海上戦力も出撃し瞬く間に大混戦となった。
初戦は日本側が優位に立っていたものの物量に勝るロシア、中国が次第に優勢になりつつあった。
大陸からも大量の戦闘機が飛来。
日本は少数ながらも善戦し、日本本土への被害は最小限に保たれた。
しかしこのままでは日本は負ける。
誰もがそう思っていた矢先、予想外の事が起こる。
突如としてロシア軍の大半が撤退したのだ。
欧州において西側諸国によるロシアへの侵攻が始まったのである。
ロシアはこの動きに対応するために戦力を割いたのであった。
西側諸国の戦力をアジアへと集中させるための日本侵攻が逆手に取られてしまったのだ。
この突然のロシアの動きに中国は勝機を見失い日本から撤退。
ロシアは多数の戦力を喪失し、得るものは何もなかった。
逆に専守防衛を掲げる日本を攻撃したことにより各国及び国内でも批判が相次いだ。
日本上空にて行われた大空戦は西側諸国の勝利に終わった。
その後、日本とアメリカ、ロシア、中国の4カ国間で講和条約を締結するため会議が行われた。
ロシアは2正面作戦になることを恐れてアメリカ、日本と停戦。
条件として北方領土を日本へと返上する事を約束した。
事実上、ロシアは太平洋への進出を諦めたのであった。
それ程、西側諸国のこの動きを重大視していたのだ。
アメリカへは多額の賠償金を支払うことで停戦の約束を結びつけた。
これによりアメリカは西側諸国へ同調し欧州への派兵は出来なくなったのであった。
が、アメリカも台湾方面へ集中したいという思惑があったためこれを了承。
実は西側諸国のロシア侵攻の作戦を知っていたアメリカは台湾にて戦闘をしていた西側諸国の連合軍を密かに欧州方面へと輸送していた。
そして、欧州方面を気にする必要のなくなったアメリカは本腰を入れて台湾に集中することが出来るようになったのであった。
中国においては日本とほぼ無条件の講和をした。
先の戦闘において互いの軍による損失は軽微だったためである。
1つ条件として提示したのは台湾情勢へ首を突っ込まない事である。
日本が参戦してくれば膠着状態にある台湾戦線は一気に劣勢になる可能性があったからである。
日本はこれを了承。
日本は自国の防衛に成功したのである。
問題は米中である。
互いに戦闘を継続しており、互いに退くつもりは無かったので、米中における条約の締結は無かった。
台湾有事はまだ続く。
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