国民的美少女アイドルに俺の性生活は支配されている

第54話 独占欲

「私ね、実は作業を手伝ってくれた時、瑞稀くんに一目惚れしてたんだよね」

「俺に一目惚れ？　どこにそんな要素があるんだよ」

「パッとしてないけど、よく見ると超イケメンだし、あとはやっぱ私に興味なかったから惹かれたよね」

「……そうか」

　まさか一目惚れされてたのか。腐るほどイケメンを見てきたであろう天野にイケメンと言われてしまった。

　自分では自分の顔を評価はできないが、天野みたいな美少女にイケメンと言われると自慢できるな。

「そう。だからね、誰にも瑞稀くんを取られたくなかったんだ」

「別に誰かと争うほど俺女子に人気ないぞ？」

「瑞稀くんの良さに気付く女子が現れるかもしれないじゃん⁉」

「あいにくいなかったようで」

「そこは一安心なんだけど……初めてエッチするときにさ、条件出したじゃん？　あれも私が瑞稀くんを独占したかったからなんだ」

「独占欲ってやつか」

「かもしれないね」

　と、天野は頷く。

「エッチをするのもね、ストレス発散って意味もあったけど、実際は瑞稀くんを私に夢中にさせるためだったんだ。他の女子に目移りしないように」

「独占欲の塊だなホント」

「ダメだった？」

「いいむしろ最高」

　小首を傾げる天野に、俺はサムズアップをする。

「んなことされなくても、俺、興味持ってない人とエッチなんかしないぞ？　てか天野とが初めてだったし」

　世の中の性欲に支配されている男子高校生とは違い、俺は誰にでも棒を貸すわけではない。

　興味がない人と致したとしても、性欲は解消されるかもしれないが、何かがすり減るだけだ。

「お互い初めてだったからさ、安心だったよね」

「ホントそうな。枕営業とかしてたらめっちゃ萎えてたわ」

「するわけないじゃん！　瑞稀くんドスケベ考えることがおっさんみたい」

　ドン引きして身を震わせる天野に、

「芸能界じゃ多いってよく聞くからさ、ワンチャンあり得た話だろ」

「だとしても、変な妄想するのはやめてくれるかな？」

「もう過去の話だろ。実際してなかったわけだし」

「まぁ、それはそうだけど」

　不満そうにプクリと頬を膨らませる。

　国民的美少女アイドルともなれば、そうゆう事をしているかもしれないという想像はしてしまう。

　芸能界には裏があると言われるからな。

　実際、初めて天野とシた時、どっちも初体験で安心した。