第50話 可愛いって言われたい!
「体洗ったらお風呂上がろ~」
ジャグジーから立ち上がると、天野はシャワーを浴び始める。
ボディーソープを泡立て、きめ細かい泡が体に伸ばされていく。
「エロ」
そんな天野の姿をまじまじと見ながら俺は呟く。
裸でさえエロくて今にも飛びつきたいくらいなのに、泡で薄く隠された胸元は下半身は妙にエロく感じる。
いわゆるパンチラみたいに、見えるか見えないかの狭間なものがエロかったり、エッチするときも全裸ではなく下着を付けていた方が興奮するみたいなアレだ。
「エロいより私は可愛いって言って欲しいんだけどな~」
「うん、エロ可愛い」
「可愛い単体で言って欲しいんだけど?」
「どれだけ自分を可愛いって言って欲しいんだよ」
「そりゃ~可愛いって言ってもらいたいでしょ誰でも」
「んなら今日も腐るほど言われてたじゃんか」
ライブの時、毎秒「可愛い」とか「好き」って会場から聞こえて来てたんだが。
「違うの! 私は瑞稀くんに言われたいの!」
「俺も言ってるぞ? たまに」
「私に可愛いって言ってくれるのエッチの時くらいじゃん!」
「いやあの表情は可愛いでしか言い表せないからな」
弱々しく目をトロンとさせ、枕をぎゅっと握りしめながら甘い声で鳴く天野は可愛い以外のなにものでもない。
この世で一番可愛い。
「てか、そんなじっくり見られると恥ずかしいんだけど」
ハッとした天野は後ろ向き、じんわりと頬を赤らめる。
「後ろ向きもエロいな」
プリっと小柄なお尻に、くびれのラインがくっきりと見える。
「視姦するなって言ってるの!」
「うわっ、痛ってぇ!」
これ以上見られたくないからか、手に付いていた泡を俺の方に投げると、見事目に直撃する。
「アイドルの体をエロい目で見た罰です」
「んなこと言ったら俺この後どんな仕打ちをされるんだよ」
「今はダメって言ってるの……この後は……別にいいから」
ボソボソとした声はシャワーの音であまり聞こえない。
これは相当照れてるな。天野は分かりやすくて助かる。
自信満々な時の天野も可愛いが、こう素直に照れてる表情も可愛い。
本人は顔を隠していてバレてないと思っているが、耳まで真っ赤なのがバレバレだ。
「ていうか、瑞稀くんも早くシャワー浴びてきてよね。私あっちで待ってるから」
と、シャワーを浴び終えた天野はさっと浴室を出て行く。
なんだ、逃げられてしまったか。
もっとシャワー姿の天野を拝みたかった気もするが、まぁ本番はこれからだ。
これ以上に可愛い姿を見れるわけだし、お風呂のシーンはこの辺で見納めしておいてあげるか。
そう思いながら、俺もジャグジーから出ると、いつもより入念に体を洗うのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます