第49話 私のことは?

 ていうか、さっきからこの状況は下半身に悪影響すぎる。

 目の前、股の間には何も身にまとっていない天野がいる。

 お湯というガードが気持ち程度あるものの、密着してる部分から柔らかくハリのある肌と温もりが伝わって来る。


「なんか、2人でお風呂に入るの新鮮だね」


 顔を振り向かせ、少しはにかみながら言う。


「確かに、なんだかんだ一緒にお風呂に入るの初めてだな」


 いつも、天野が先に入ってるか別々で入る。終わった後も、一緒に入ったことはなかった。


 まぁ、ラブホのお風呂みたいにムードがあるわけでもないし、天野の家のお風呂はラブホのより全然広くて綺麗なのだが、なんだろ、一緒に入っても特別感がない。

 それはそれで日常感があっていいのだが。


「結構な頻度でシてるのに、おかしいね」


「今日はラブホ初めて記念とお風呂初めて記念だな」


「しかも、瑞稀くんと一緒に入ると疲れがいつもの倍くらい取れる~」


 と、天野はグーンと背伸びする。


「逆じゃないか? お風呂狭くなるわけだし」


「なんて言うの? 安心感?」


「俺はこれがあるから疲れが吹っ飛ぶけど」


「んっ//」


 手を前に伸ばし、お湯に浸かっている胸に優しく触ると、天野は甘い声を漏らす。


「ちょ、いきなりなにするのよ」


「すまん、つい」


 バっと勢いよく胸を隠すと、プクりと頬を膨らませながら言う。

 目の前にキレイな胸があったからつい触りたくなった。ただの変態かもしれないが、ここはラブホ。そうゆう事をする為にある場所だから問題ではないだろう。

 ついでに俺の疲れも取れるからいい事ばかりだ。


「私のおっぱいそんな好きなの?」


「好きじゃないわけない。愛おしい」


「じゃぁ私のことは?」


「……特別だとは思ってる」


「ちぇ~、はぐらかすとか―――ちゃんと言いなさいよ」


「ん? なんか言ったか?」


「いややんでもない」


 不機嫌そうに顔をしかめると、そっぽを向く天野。

 今の答え最適解じゃなかったか? ここでもし好きとか軽々しく言ってもなんか違うし、特別って言った方がよかった気もするのだが……怒らせてしまったようだ。


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