第39話 こちらも元アイドル

「2人仲良いじゃ~ん。結構親密な関係なん?」


 3人、椅子に座ると恵那さんは俺達を交互に見る。


「うーん、親しい仲ではあるかなー」


「仕事で? それともプライベート?」


「どっちも関係あるかも」


「それって……」


 目を見開き、引き気味に言う恵那さんに、


「いかがわしい関係じゃないからね⁉」


「分かってるってぇ~。青木ちゃん旦那さんいるの私知ってるし~」


「結婚式にまで来たくせに変な事言わないの!」


「あいててて」


 ニヤける恵那さんの頬を引っ張る青木さん。

 この2人。仲が良いんだな。マブダチと言っているだけある。


「2人はどうゆう仲なんですか? 仕事繋がりとはいえ、すごく仲が良さそうですよね」


 仕事だけでここまで仲が良くなるものなのか? 関係性が気になる。

 これまでのやり取り を見ている限りでは、ただの友達にしか思えない。


「私たちは青木ちゃんがアイドルしてる時からの付き合いなんだよ~」


「美紅ちゃんが同期で別のアイドルしてたんだよね~」


 肩を組みながら昔の話を始める2人。


「私たちはライバルだったんだよ~。まぁ青木ちゃんの方が100倍売れてたけど……」


「私はロリ系だったけど、美紅ちゃんは見た目にそぐわずにビジュアル系アイドルだったもんね」


「それで叩かれたりもしてたなぁ~、懐かしいけど思い出したら死にたくなる」


「まぁその時代があったから仲良くなったんじゃん~」


「いい事なのか悪い事なのか……」


 恵那さんも元アイドルなのか。青木さんとは違う可愛さがあり、アイドルに居そうな雰囲気もあるからな。

 言われても別に驚きはしない。


「ライバルなのに、どうして仲良くなったんですか? もっとバチバチになるはずじゃ?」


「ホントはそうなんだけどねー、美紅ちゃんのグループも私のグループが解散したとほぼ同時に解散したんだよ」


「私のは単純に人気がなかったからなんだけどね……」


 肩を竦めてしょぼくれる恵那さん。


「そのおかげでしょぼくれてた私と出会って慰め合ってたんじゃん」


「あの時はお互いしんどかったからね」


 しくしくと泣く演技をする2人。


 アイドルの解散理由は人気のなさが一番多い。それだったのが恵那さん。

 そして、次に多いのが炎上で解散したのが青木さん。


 解散理由は別として、どちらも辛い時期に出会って、そこから仲良くなったという訳か。

 なんかいい話だな。

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