国民的美少女アイドルに俺の性生活は支配されている

第20話 ……大惨事だ

『ちょ、瑞稀くんどうした⁉』

　突然怒鳴られた天野は、焦った口調で早口になる。

『今、俺がどうゆう状況にいるかお前分かるか？』

『逆に分かるとでも思う？』

『だよな……じゃなきゃこんなクソみたいなタイミングで電話なんて掛けてこねーもんな！』

『だから何をそんな怒ってるんの瑞稀くん』

　息を切らす俺に、天野は困った様子で聞いてくる。

　そうだ。状況を知らない人に無駄にキレてもどうにもなんないんだった。

　一旦心を落ち着かせて天野に話すとしよう

『単刀直入に言うと、今例のバカップルと一緒にいる』

『ほ、ほう……それが何か？』

『お前からの着信画面見られた』

『……それは大惨事だ』

『だろ？』

　淡々と現状を言う俺に、一気に声のトーンが落ちる天野。

『んで……どうなったの？』

『どうもなにも、電話に出たから何もないけど』

『……どうしようか、そっち結構な空気感でしょ』

『だな。とりあえず仲がいいって事だけは伝えとくわ』

『おっけ……話は明後日私暇だから家で聞くよ。電話の要件それだったし』

『了解した。とりあえず検討を祈ってくれ』

『そうしとく』

　一通り話が終わると、電話を切った。

　さて、どうするか。

　これは俺にとっても天野にとっても重大事件だ。

　ただの友達と言って回避したい所だが、あの２人がそれを言って引き下がるわけがない。

　絶対にツッコんで色々聞いてくるのが目に見えてくる。

　はぐらかせばいいのだが、地雷を踏んで俺達の関係がバレるかもしれない。

　発言は一呼吸おいてするとしよう。

　スマホをポケットにしまうと、俺は２人の元へ戻る。

「んで、天野さんはなんて？」

　両手を合わせながら仁はソワソワした様子で聞いてくる。

「別に、なんでもなかった」

「ほう……」

「なんだ」

「いや～、仲良くしてるだろーなーとは思ってたけど、いきなり電話掛かってくるく

　らい仲がいいのは予想してなかったなーって」

「ただ仲が良いだけだ。別に何もない」

「なんかもう凄い事を知れた気がするからもう聞くことはないな」

　相当予想外だったのだろう。

　てか、こいつは質問攻めされてあたふたする俺を見たかっただけだ。ここまで進展してるのは仁の中のシナリオにはなかったのだろう。

「それで～、天野ちゃんからの電話の内容が私は気になるんだけど～、聞いてもいいかな？」

　小さく手を上げながら控えめに言う笑麻に、

「普通に、明後日家来ないかって言われただけだが」