第16話 密会する!?

「わり~、今日先客がいるもんで2人でご飯食べててくれ」


 お昼休み、一個の机を囲む仁と笑麻に頭を下げる俺。

 いつも、3人でご飯を食べるのが俺達の日課なのだが、今日はそうはいかない。

 天野から呼び出しされているからな。

 流石に行かなきゃヤバい。次会った時にヤられそう。


「めずらし」


「瑞稀に先客とは、もしかして女?」


 アブノーマルな展開に、2人は俺に疑いの目を向けてくる。


「ちげーよ、俺が女なわけあるか」


「ホントか~? どうでもいい人だったらほっといて俺達とご飯食べるだろお前」


「どうでもいい人とは一言も言ってないだろ」


「なら絶対女の子じゃん!」


 目をキラキラさせながら笑麻は顔を近づけてくる。

 間違ってはないけど、なんで先客が女に限定されるんだよ。俺だって友達はそれなりにいるぞ? 頻繁に話さないだけで。


「ま、これ以上詮索してもこいつは口を開かないだろうからもう聞くのはやめよう」


 前のめりになる笑麻の服を引っ張りながら、仁は見透かしたような目をする。


「俺もツっこまれるのめんどくさいからそっちの方が助かるよ」


「えぇ~! 私は瑞稀の面白そうな話いっぱい聞きたいんだけどぉ~!」


「いいさ、どうせ後々分かる話だろうし」


「何かあっても言わねーよ? 何もないけどさ」


「うんうん、分かってるから安心したまえ」


 ジェスチャーをしながらため息を吐く。


「そうゆう事で、行ってきたまえ、天野さんが待ってるんだろ?」


「なんで天野の名前が出てくるんだよ」


「え! 瑞稀、天野ちゃんと密会するの⁉」


「うっせーな! さっきからちげーって言ってんだろお前らバカなのか⁉」


 バカだからさっきから同じ質問してくるのか。このバカップルめ。

 大体、天野と会う事が検討ついてても、そこから先の事全然分かってないだろ。もう既に俺は天野と体の関係があるんだ。

 この事実を知ったらこいつら眼球と飛び出すだろうな。


「お前ら、次変な事言い出したら二度と口開けなくするからな」


 2人を睨みつけながら教室を後にする俺。


「はいよー」


「大丈夫~。瑞稀の前ではもう言わないと思うから~」


 揃って不快な笑みを浮かべながら手を振って俺を見送る。


「ぜってー分かってないだろ……」


 呆れてため息を吐くと、俺は教室のドアを閉めた。


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