第8話 友達がいない

「あとーメリットがあるとするなら~……ライブ衣装の私とエッチ出来るかもしれない?」


「行きます行かせてくださいお願いします!」


 即答する。


「お、手のひら返しがすごい」


「いや、これは行かない理由がないな。うん」


 ふるーつぽんちの衣装は、メンバーごとにフルーツを模擬て作られてる。

 天野こと『いちごちゃん』はイチゴ。他メンバーの2人『みかんちゃん』と『めろんちゃん』はそれぞれみかんとメロン。


 しかも、この衣装が他のアイドルと比べて群を抜いて可愛い。

 アイドルに全く興味がない俺でさえ、この衣装はお気に入りだ。


 その衣装を、天野という美少女が着る。その状態でエッチとか……考えるだけで興奮してくる。多分、ライブしてる時にチラッと見える太ももを見ただけでも俺の息子は起き上がるだろうがな。


 週3くらいで天野の裸体を見たからって、慣れるものではない。

 むしろ見る度にエロさが増す。


「じゃぁ、行くってことでいい? マネージャーに連絡するけど」


 マネージャーとのトーク画面を俺に見せながら言う。


「あぁ、よろしく頼む」


 俺も、スマホのカレンダーに予定を入れようとするが手が止まる。


「待て、マネージャーになんて言うんだ?」


「ほぇ?」


「ほら、だって俺達の関係性よ」


「あ~たしかに」


 最初はポカンとする天野であったが、聞いた途端ハッとする。

 マネージャーに「セフレのためにⅤⅠP席用意してください」とか言ったらアイドル活動存続の危機だ。


「友達って言うのが無難かな?」


「お前、前マネージャーに友達いないような事言ってたんじゃないのか?」


「あ……そうだった」


「これ詰みじゃないか?」


「いや! これはもう友達って言い張るしかない!」


「大丈夫なのかそれ。同性ならともかく異性だぞ?」


「セフレって言うよりはマシ!」


 声を少し張りながら言うと、スマホにフリック入力をしていく天野。

 本当に大丈夫なのだろうか。


 多分、マネージャーも天野が仕事で忙しくて友達が出来ない事くらい分かるであろうが、いきなり友達が出来たとか言われたら色々不審がりそうだ。

 彼氏とか思われたり、いかがわしい関係と思われたり。まぁ、後者の方は当たってるんだけど。


「うっし! マネージャーには友達が一人来るって言っといたからⅤⅠP席は確保できた!」


「お、おう……ありがと」


 スマホを置き、ベッドにうつ伏せになる天野に、俺は小さく返事をする。

 大丈夫だといいが……心配だ。


 マネージャーと天野が仲がいい事は、よく聞くけど、どこまで親密かによるな。

 友達みたいな関係だったら、どうにでもなりそうだが、それほどでもないなら質問攻めされそうだ。


 どうゆう経緯で仲良くなったとか、その他諸々。


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