第6話 ズルい女
「でも、私に都合がいい男にされて光栄でしょ?」
「そう言われると全く思わないな」
「それでも、私が提示した条件を飲んだのはそっちだよね?」
「……あの条件な」
「結局どっちもWINWINなんだからいい取引だと思うんだけどな~」
「俺はほぼお前のいいなりみたいな所あるけどな」
天野と俺がこの関係になる時に決めた条件。
この関係の事は誰にも公言しないこと。天野以外と体の関係を持つことを禁止。
一人でさえシてはいけない。絶対に処理したい時は天野を使う事。
これが、俺と天野の契約した条件だ。
ちなみに、俺のメリットというのは、国民的アイドルと関係を持てるということだけ。
一般人なら大喜びでこの条件を飲むであろうが、俺はただアイドルとヤれるだけが理由でこの条件を飲んだわけではない。
「都合がいいんだったら、もっと薄い関係でいいと思うんだけどな」
「ヤるだけみたいな?」
「そうだ」
「今もそうじゃないの?」
「身の回りのお世話、俺にしてもらってる癖にどの口が言ってんだよ」
「性欲以外にも?」
「性欲をお世話されてるのは俺の方なんだが? しかも故意的に」
「嫌じゃないならいいじゃん」
「嫌ではないけど不満はある」
一人夜、ムンムンした時に抜けないのは普通にしんどい。
天野はただでさえ忙しいんだ。会う機会だって週に3日あるかないか。
男子高校生は毎日でもシたい生き物なのに、回数が少なすぎる。
「どうせ毎日できないから不満なんでしょ?」
まるで心の中を見透かしたように、天野はニヤつきながら言ってくる。
「そうだよ……なんか文句あるか?」
頭を掻きながらため息混じりに言う俺に、
「なら……」
天野は俺に近づくと、そのままベッドへと押し倒す。
「……なに」
「毎日できない分、会った時にいっぱいすればいいじゃん」
耳元で囁きながら俺の下半身を触ってくる。
「それは――またシたいと?」
「瑞稀くんは……シたくないの?」
「あの、俺を口実にするのズルいと思うんだけど?」
「ズルい女ですみませんね」
「元々知ってるから安心しろ」
と、俺達は小さく笑いながら唇を重ねるのであった。
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