第4話 重要なんだけど!?

「ホント、俺みたいなやつのどこを気に入ったもんなんかね~」


 ふと思う。

 この関係になって3ヵ月ほど経過しているが、詳しくは天野から聞いてはいなかった。


 何故俺となのか。


 他のイケメン男子とシたり、女子と遊んだりするわけでもなく、俺とスるのか。

 ただ、自分に興味を示さなかったからでは納得がいかない。

 もっと具体的な何かがあるはずだ。


 じゃなきゃ、俺みたいな凡人と国民的アイドルがエッチなんてするはずがないのだ。


「さっき言ったままなんだけど?」


「いや、もっと具体的にさ、なにかあるだろ」


「うーん、そうだな~。私に興味ないっていう事に関係あるけど~、私が学級員の仕事を任された時のが大きいかな~」


「あー、あのほぼ無理やり任されたやつかー」


「そうそう! この国民的アイドルの私に仕事任せるかな普通! 私は他の事で忙しいっつーの!」


「そこは今聞いてないんだけど、あんとき断ればよかったじゃんか」


 あれはまだ俺達の関係が始まってなかった頃、放課後忘れ物をした俺が教室に戻ると、一人で黙々と作業をしている天野の姿があった。


 作業の内容は、学級員の仕事である書類の作成。

 普通なら委員の2人で作業、それか誰かに手伝ってもらってやっと終わるほどの作業内容だ。

 それを、天野は一人でやっていた。


「頼まれたら断れないじゃない! あそこで断わってたら私の評判が下がるしヤダもの」


「別にあんくらいで評判は下がらないだろ。お前はただでさえ忙しいキャラなのに」


「頼りがいがあるって思われてるのはいいけど、あの仕事私に任せるかな普通」


「それはマジで思う」


 学校のみんな、天野がアイドル活動やその他の仕事で忙しい事は知っているはずだ。

 なにせ、大事な仕事の時は学校を休んでまで行くくらいだしな。

 放課後も、そのまま仕事やレッスンに行く日だってざらにある。


 頼りがいがあるっているのはいい事かもしれないが、手伝い乞うのではなく任せるのはどうかと思う。よりによって天野という人物に。


「その時さ、瑞稀くんは手伝ってくれたじゃん」


「手伝ったな」


「それが決め手だったかな」


 ピシっと人差し指を立てると、天野はウインクする。


「俺、手伝っただけなんだが? それに手伝いくらいだったら他の人でもするだろ」


「いやいやいや! そこでさっきの私に興味ないっていう話が出てくるわけよ」


「意味が分からん……興味がないなら普通手伝わんだろ」


「そうじゃなくってさ、私にお近づきになりたい人は必要以上に『手伝おっか?』とか『俺もやるよ』とか頼んでもないのに声掛けてくるじゃん? あと私と話したいからって雑談までしてくるし」


「まぁ、そうだな」


「でも瑞稀くんはどうだった?」


「……俺何したっけ?」


「そこ忘れちゃう⁉ 一番重要だったんだけど⁉」


 机にドンと手を付き、目を真ん丸にしながら前のめりになる。

 そんなに覚えてて欲しい事か? 別になにも特別な事はしてない気もするけど……。


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