第2話 人気者ならではの悩み
「ハァ//……ハァ//今日もありがとね//」
色気のある汗が滴る全裸でベッドに横たわる天野は、俺の腕を掴みながらそう言う。
「こちらこそ、ごちそうさまでした」
絹の様に白くハリのあり、サーモンピンク色の胸を見ながらペコリとお辞儀する。
「いやぁ~、エッチはいいストレス発散になるわぁ~」
「分かるわ、清々しい気持ちになる」
「やっぱこうやって何も考えずに過ごせるって最高だね~」
「お前、いつも気張ってるもんな」
「そうなんだよ~、いつでも見られてるって辛いよ~?」
国民的アイドル、学校でも人気者。気の休まる所なんで自宅以外そうそうないだろう。
どこかで買い物をしてても話掛けられ、学校でもいつも周りには人がいる。
俺だったら精神的に病みそうだ。
「アイドルになっちゃったから仕方ないことなんだろうけどさ~? もっと静かに過ごしたいとも思うものですわー」
仰向けになり、胸に手を置く。
「それもテレビの取材とかロケとかにも引っ張りだこだし、youtubeでも登録者数100万人超えだから見られない方が凄いだろ」
「これが人気者だからこその悩みだね」
「いいお悩みをお持ちで」
「どこがいい悩みだよー。こっちは毎日毎日大変で仕方ないっての」
ちょこんと俺の前に座ると、プクリと頬を膨らませる。
大変……ね。俺は大人気アイドルでもないし、天野の感覚はよく分からない。
学校でも陽キャでも陰キャでもない立ち位置にいる俺だ。友達もそこそこいて、放課後はカラオケやゲーセンで暇をつぶし、家に帰ってはゲームをして寝る。
これが普通の生活で、この普通の生活をしている人たちは天野のようなキラキラした生活を羨むだろうが、天野はその逆で俺達みたいなごく一般的な高校生の生活をしたいのだろう。
「そうえば、学校で結構女子と仲いいのに、放課後とか遊び誘われても断ってるよな」
Tシャツに袖を通すと、俺は天野に服を投げながら聞く。
「まぁね~」
「やっぱ仕事か? でも前、平日は仕事セーブしてるって言ってなかったか?」
「セーブはしてるけど放課後空いてる時なんていい時で2日くらいだよ」
「ほうほう」
「それに、学校の女子と仲良くしてるの疲れるんだよね~。ゆうて上辺だけの関係だし」
「あんな仲良くしてるのに、あれは営業スマイルと?」
「せいか~い。逆にアイドルっていう私目当てで絡んでくる子ばかりで正直ウザい」
「うわ、なんか分かるわ」
「でしょ~?」
「だから空いてる日には俺とシてるってわけね」
「そう!そっちの方が楽しいし! 気が楽!」
フンスと鼻を鳴らしながらサムズアップする天野。
本当に人気者の悩みだなこれ。
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