14話:ボクっ娘!梓ちゃん!!

「おっはよ~。かなめ!!」


「・・・ん?に、義兄さん!?お、おはよう。」


梓の元気のいい挨拶が帰って来たと同時にかなめは起きた姿に驚愕した。梓の髪の色が変わりまた、体つきも変化しているのだ。


「ん?どうしちゃったのかなめ。ボクの顔になんかついてる?」


「い、いやそんなことじゃないけど………義兄さん?か、鏡・・・見た?」


「見たけど。あっ!!そうか、かなめには言ってなかったね!!ボクは某カードゲームで言うところのもう一人の僕!!だよ。」


「は?えっ??」


かなめは夢の中で現実の梓が入れ替わってしまった結果を伝えた。


「それで、どう?理解した??」


「うん、全くわからなかった!!」


かなめは諦めた表情で満面の笑みを浮かべていた。




 かなめによってりんと亮太が集められて緊急の家族会議が始まった。


「「えっと………梓ちゃんで違いないのか(よね)?」」


「うん、そうだよっ!ただ、正確には人格の融合が失敗した状態の梓だね!!その結果として裏にいたボクが強く出ちゃったみたい。」


「えっ!?それじゃあ、今までいた義兄さんは!?」


梓が楽観的に話すと同時に3人の表情はどうしようと言った感じの困惑している表情だった。


「梓ちゃん、正直聞きたいのだけど、このまま人格が二つに分かれた状態だとどんな状態になっちゃうの?」


りんの質問に対して亮太は同じことを聞こうとしたのか頷いた。一方の質問を受けた梓は顎に手を置いて頰を指で掻いた。


「うーん、正直今あっちの意識と話せればよかったんだけど、生憎あっちの人格には意識覚醒下だと離せないからね〜ただ時間は無いよ。ボクたちは元々2人で一つの人格だ。」


梓の言葉にはっと息を呑み込んだ。


そこから梓は言葉を重ねていき、亮太もりんもかなめも頭を抱えた。


 そして、学校に相談して、今日からの復学は一旦無しとなり一先ず、2日の経過観察となったのだった。




 その頃の、元現実核のあずさは何処か分からないが真っ白な空間に宝石のような塊が光って据えられていた。


「んんっ………どこ?ここは。」


梓の表人格はきょろきょろとあたりを見回しながら何もない真っ白な空間に手を伸ばしていく。


「もしかして・・・心の中!?」


梓は、夢の中で出会ったもう一人の自分が言っていたことを思い出した。同時に梓の目の前に宝石のような塊は砕け散るとともに梓の周りに欠片が映像を映し出していた。


「うぷっ………な、何だ!?」


梓の視界が歪み始める。周囲には梓の過去が映し出され始める。梓は悲鳴と涙声を混ぜ合わせながら、自分の過去をそして生まれてきたもう一つの人格が生まれることが映像で流れ始めていく。


 梓は頭に痛みを伴いながら必死に自我を保とうとした。しかし、そんなちっぽけな抵抗は上手くいくことなく現状の表立っている梓も・・・


「えっ???」


視界が歪み始め眠るように意識が離れていってしまった。そして、裏人格であった梓も表梓と同じ場所に落とされて梓の過去を脳内に流し込まれていく。


『・・・混ざり合え。魂の二欠片よ。』


何処からか聞こえない声が表梓と裏梓を激しくぶつけた。そして、二人の異なる姿をした梓は、自身の姿を変えて混ざり合うとともに意識が完全にどこかへ行ってしまった。

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