13話:一歩を踏む勇気
復学まで1日を切り、梓は最後の確認を終えてベットのマットに飛び込んだ。
始めは戸惑いを隠さなかったが、徐々に慣れていくと一方に梓の心の状態はずっと荒波に揉まれたように不安定になっていた。
「明日、この姿で学校にいくんだな・・・はぁ。」
掌の皺を見ながら明日のことを思案してはため息を一つだけ大きく吐き出した。
「このまま人生のレールは切り替えられるのかな?」
梓はその後胸をそっと撫でては、どこにもぶつけられないもどかしい何かを引っ掛けていた。
梓の中には今、2つの人格がある。しかし、彼女はそして周囲の人々は知るはずもない。まだそれが登場していないからだ。
しかし、一方で梓は眠りに落ちたと同時に夢のような空間で彼女に瓜二つの少女と交わり始めた。
「こんにちは。もう1人の私。」
「・・・・・ハイ?どう言うこと?俺が、もう1人?」
青黒髪のセミロングをした少女梓と片方は顔は梓なのだが髪型がポニーテールの髪色が空色になった梓(?)がそこにはいた。
「まぁまぁ、細かいことはひとまず気にせずこっちにきて座りなよ。」
「お、おう。」
コミュ障さながらの返事を決めるノーマル梓は夢梓に促されながら近くにある座椅子に座った。
「まず、元気?」
「まぁ、それなりに。つか、お前は誰なんだよ?」
突然の夢梓の質問にノーマル梓は答えると同時に質問を放った。
「う〜ん・・・そうだね。簡単に言えば、君。」
「は?どう言うことだ?」
ノーマル梓を指を指して夢梓は微笑みながら答える。
「まぁ、難しいよね。説明すると、君が女の子になった時にできた新しい君の人格であり、今の人格をアップデートしたりする存在とも言えるし、消去する存在とも言える。」
「はぁ。それはどうもご丁寧にありがとうございます。本当に。」
「いえいえ〜そんな事ないよ〜。それよりも、君に聞きたい。今、君の心は壊れかけてるよ。」
「は?」
夢梓の一言にノーマル梓は突然すぎるが故に放心状態に陥ってしまった。
「ちょっと待ってくれ、心が壊れかけてるってどう言う事だよ?」
「言ったまんまだよ。君は今、ボクと心の中を共有している状態になっているんだ。だから今心の感情に裏と表が生まれたことによって心の感情の起伏が変わり始めすぎて突然崩壊を始めたんだよ。」
夢梓の言葉が突然にノーマル梓は飲み込むことはできないがとりあえず言葉を一言一句聞き逃さないように聞いた。
「・・・と言う訳なんだ。」
「まぁ、全部が全部理解できた訳じゃないが何割かは分かった。それでどうすればいいんだ?」
「ボクもそれは分からないんだ。いかんせん生まれて1ヶ月も満たないからまだ、不完全なんだよ。」
夢梓の言葉にノーマル梓はどうしようかなずっと考える。
「あっ・・・」
「ん?どうしたの?」
「お前と俺の人格を混ぜ合わせればなんとかなるんじゃ・・・「できないよ。」・・・えっ?」
「実を言うとね、ボクと言う存在は特異点に近いんだ。正直に言ってしまえばパラレルワールドにあるはずの魂がなぜかここにいる状態なんだよ。」
夢の中で話し合いはずっと続いていく。
「じゃあ、どうすれば。」
「ボクに触れて。」
「??どう言うことだ?」
夢梓の突拍子のない言葉と共にノーマル梓は手を伸ばす。しかし時の流れは残酷だ。梓は意識を取り戻そうと動き出したのだ。2人の思念体のような何かは何を言っているかは分からないがお互いを求めるように手を伸ばす。
そして指一本触れた瞬間、梓の実体は光り始めた。
「んんっ・・・ふわぁ。よく寝た〜。・・・ん?何か声が変だな〜?」
「兄さん!!・・・えっ?えええええええええええ!?!?」
「ん?どうしたのかなめ。朝からうるさいな〜。ボクは元気だよ?」
「に、兄さんの髪の毛の色と目の色が変わってるぅぅぅぅう!?」
かなめの今日一の声と共に一家全員が起き始める。その時、ノーマル梓は・・・
「な、なんだこれ?」
1人心の核に立っていた。
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