7話:学校へ行こう。
梓が初めて女の子の日に当たっている間、彼女の通っている高校、私立伊達学園では職員会議が行われていた。
「う~ん、竹中梓くんがねぇ~。」
「あぁ、これは正直前例が無い・・・いやあるわけがないからどうしようものか。」
教員たちは女子になってしまった梓についての対応について日々議論を積み重ねていた。
「だが、どうする?梓くん自身はどうにかして学校に行こうと思っても格好の的なのは事実だ。そんな中に放り込んでは少し人間関係が構築されてきたものが崩されてしまうのじゃないのか?」
ある一人の先生が心配事を述べたことによって、切り開かれそうではなかったが0に近い状況下に元通りになってしまう。
再び今日の職員会議も行く先が見つからないまま終わってしまったのだった。
一方の梓は家の中で遅れていた勉強を取り戻すために昼下がりの時間から教科書を開いて勉強を始めていた。
「…………………」
梓はペンを動かしてはボーっとするのを繰り返し教科書とにらめっこしている。
「う~ん、一人って退屈だなぁ~。」
ここ一か月もの間ほとんど一人で過ごしている梓の寂しさが少しだけ浮かび上がっていた。
「今日は外にもあいにく出れないし。何をしようかなぁ~。」
「兄さん!!」
「うわぁ!!か、かなめ?いきなりどうしたの??」
いきなりかなめが帰ってきて梓は困惑した表情で途惑いが隠せなかった。かなめはそこからいきなり梓の手をつかんで玄関のほうに向かっていった。
「かなめ!?いきなり外に向かおうとしてるけどどこに行くの!??」
「高校に行くよっ!!先生が兄さんを呼べだって!!」
「えぇ!?そんないきなり呼ぶことある!?どうして??」
「分かんないよっ!!ただ、取り敢えず行くよっ!!」
梓は何もわからないまんま自分の在学する高校へ手を引っ張られながら、足を歩み始めたのだった。
「・・・うん、高校。こんなにおっきかったっけ?」
「兄さんが小さくなったからじゃない?」
「は?かなめは最近、ふとっ・・・」
「ギルティ!!」
「あべしっ!!」
女子に対していってはいけないランキング上位に入る言葉を梓はかなめに行ったことにより自身のライフポイントを削って意識がぶっ飛んだ。
結果、かなめが梓の首根っこをつかんで学校の校舎の中へ引き摺り入れたのだった。
「はっ!!ここは・・・?」
「あぁ、起きたのね?竹中さん。」
起きたらそこにはたくさんの大人たちに囲まれる構図が梓の視界に生まれていた。
「えっと………先生で合ってる?」
「そうよ。久しぶりね竹中君。」
「久しぶりです先生。今は男じゃなくなっちゃったけど。」
「でも、可愛いんだからいいんじゃない?」
梓は先生に言われた言葉に苦笑いを浮かべて答えることに対しては避けることにした。一方の先生も、自分の発言が軽率だったことに今思い出し慌てて梓に頭を下げ始めた。
「あっ、ごめんなさい!私はなんてことを。」
「あはは。大丈夫ですよ。少しだけ実感が沸かないだけですから。」
そう言って梓は乾いた笑みを一つ浮かべた。その一方で周囲にいた教師陣は梓の表情等を見て現状の提案をどうすればいいか困惑せざるを得なかったのだった。
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