5話:幼馴染が来たってよ。
梓が休学生活を始めて2週間くらいが経過した。季節も春から夏へと変わる前の梅雨に入り始め中々、外に出て気晴らしができず少しだけブルーな気持ちにスイッチが傾きそうだった。
そんな時だった、梓の家のインターホンが宅配以外の理由で鳴り響いた。
「はいはい~。………って、紗月か。やっほ。久しぶり。」
「・・・えっ?ど、どちら様ですか??」
「梓だけど。」
「・・・は?はあああああああ!?!?!?」
梓は目の前で叫んで錯乱している幼馴染、黒田紗月くろださつきは変わり果ててしまった姿の梓を見てびっくり仰天して頭の上にヒヨコが回りだしポケ〇モンのように混乱していた。
「「………………………」」
2人の間に気まずい間が生まれている。ダンマリとしたリビングフロアはどことなくお通夜会場にも見えた。
「え、えっと・・・梓で、いいんだよね??」
「お、おう。そうだよ。」
「えっ?でもさ、もともとこんなに小さくもなかったし天パだったよね?」
梓は紗月に事実確認を行われながら自分の姿の状況を遠回しに言われて少しだけダメージを負っていた。しかし、すべて事実だということに梓は首を涙目になりながら刻々と頷いていた。
しかし、紗月の梓が女の子になったことに対して理解してしまうスピードもいささか速すぎる気もするが。
「しかし、何があったら女の子になっちゃうのよ。」
「う~ん、分からないんだよなぁ~。医者曰くもう、治す方法も無いから俺の残りの人生は女の子からのニューゲームになるらしい。」
「あらら。でもさ、どうするの?学校は休学願いだしちゃってるけどいきなり戻ってきても信用されない可能性もあるでしょ?」
「あぁ~。」
紗月の言った言葉に梓は何も言い返すことができず唸り声がふと上がった。学校生活をほぼ一からはやり直せない状態で梓はスタートせざるを得ないが代わりに人間関係はほぼ関係値0に近い状態でリスタートをしなくちゃ行けなくなった。
「やっぱり。梓は何か考えてるようで考えてないときあるよね?」
「そんなことあると思ってるのか?…………いや、あるわ。」
「あるんかい!!」
梓は頭をボリボリと掻きながら「いやぁ~それほどでも~」と照れ笑いを浮かべているが、全く褒めていない。
それからしばらく梓と紗月は学校の話を取り敢えずいろいろとしていた。そんな時だった。
「ただいま~兄さん………ゲッ!!な、何でお前がここに?」
「私は先生に頼まれて資料を梓に届けに来ただけだよ。かなめちゃん。」
「なにおう~?私がいるのにか?おかしいなぁ~。紗月ちゃんが梓に会おうと圧でもかけたんじゃないの??」
「えっ?何のことかな~。」
「ちょっ、お前らここで喧嘩は
「「梓は黙っていて!!!」」
「・・・はい。」
かなめが帰ってきたことによって紗月とかなめが言い争いを始めていた。
実はこの二人はまぁ、いろいろと馬が合わないのだ。性格だけ見ると割と仲が良さそうなのだが。好きなものや趣味が正反対に近いもので。
ただ、共通点が一つだけある。それは2人とも梓のことが好きだという事実だった。そのため二人は時折梓のことを本人がいないところで掛け合っては戦っていたりしていたこともある。
ちなみに、梓はそのことを知らずただのほほんと『こいつら、仲いいなぁ~』と脳死でお気持ち表明していたとか。
その日の夜、かなめはパソコンを開いたと同時にEDMとキーボードを手前の方に出して、音楽を作り始めた。
「兄さんの声は、もしかしたらこの歌も歌えるかも?そして、私も準備できてユニットが組めるかも?グヘへへへへへ!」
下賤な笑みが豆電球に照らされながらたった一人だけ浮かべている。しかし、かなめが散りばめているコード進行やサウンドエフェクトの使い方は誰が見ても上記の逸している音楽を描き始めていた。
「まだ、まだだよ。もっと、もっと動け、叫べ、私の魂っ!!!!」
「ちょっと~かなめ~うるさいわよ~。」
「ご、ごめんなさい!!」
叫び倒しすぎてりんに怒られたとさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます