8話 デート 後編
「ちょっと、手離して。」いま私たちは店内をでて手を繋いで歩いていた。もしかして私と手を繋ぐのが嫌になったのかも。しつこくやりすぎたかもしれない。この柊の体温が伝わってくるのがいいのにと思いながら手を離す。
「ごめん、トイレいってくるね!!」あーそういうことね。柊がもっと早くいってればそんなこと考えずにすんだのに。
柊を待ってる間にあたりをみる。多くのカップルがいた。ゆるく腕を絡ませたり、手を繋いだりしていた。なかには、手と手を絡ませあう恋人繋ぎをしている人もいる。ちょっとあこがれる・・・。
そこまでやったら柊は怒るだろうか?もしかして柊はいやいや付き合っているのかもしれない。もしそうだったらもうしわけない。
「ごめん、お待たせ。」
「ねぇ、柊。もしかしていやいや付き合ってくれてる?」
「ううん、そんなことない。俺から提案したし」といい柊はさりげなく手を繋ぐ。
「レイは心配しすぎ、まだ出会って2日だけどいままでで一番楽しいよ。」そのまっすぐな言葉に照れてしまう。
「柊、恋人繋ぎしていい?」と私がいうとなにもいわずに恋人繋ぎにする。なんかごちゃごちゃいわずにやるのが余計にかっこいい!!
「レイ映画見ない?」私はうなずく。
「レイ、恋愛系見ない?こういうの男一人とかきついから。」
「うん、それでいい。」人生初めての映画だ。楽しみである。
「俺並んでポップコーンとドリンク買うから、トイレしてきていいよ。映画長いから。」といい男が垣間見えるセリフをいってきたのでそれに従いトイレにいく。
トイレからでたあと柊が両手がふさがっていて手が繋げなかった。
〇
シアター内に入るととても暗い。そしてカップルが多かった。私たちは指定の席に座った。
「飲み物、アイスコーヒーにしたよ。大人の味って感じだから飲んでみて。」といい渡してきた。飲んでみたがたしかに大人の味って感じで甘くはない。けど、好きな味だった。
「ポップコーン塩とキャラメルの両方にしたよ。」どっちもおいしそうだった。食べてみると私はキャラメルの方がおいしく感じた。
場内がさらに暗くなり映画がはじまる。
高校が舞台の映画だった。田舎から東京に上京してきた女の子が先生のことを好きになりふられる。そのあと同級生の男の子に告白されて付き合う。しかし、先生は本当は主人公の女の子が好きで立場上ふったということを主人公が知る。そして最終的に先生とくっつくお話だった。
「面白かったね。」
「うん、面白かったけど、最後は同級生とがよかったな。かわいそうじゃね」
柊のいう通り、主人公の女の子は同級生の男の子が好きでもないのにつきあっていた。多分、先生のこと忘れるために。ちょっと、、かわいそうだった。
しかし、それより印象的なのはあの長いキスだ。30秒以上あった。あれは圧巻だった。さすがに恥ずかしいのでキスの話はしないでおく。
「そろそろ暗いし帰るか。」
「うん、今日は楽しかったね。」
こうして初めてのデートは終わった。
雪の少女は冬の間、君と魔法のような恋をする 薔薇野 あい @ma1973
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