第2話 素直で可愛い玲子
「ここ、凪のおごりね」
「はぁ?なんで」
「なんで?今、なんで、って言った?」
「言ったけど」
「ふざけんな馬鹿!この学年一モテル玲子様が、あなたのくだらない恋の相談でせっかくのテスト休みの午後をつぶしたのよ?当たり前でしょ」
「…。おまえ…性格変わりすぎだ…」
「なんか言った?」
幼稚園からの腐れ縁で、高校まで一緒になった俺と玲子。玲子は、歳を重ねて行くほど、奇麗になり、出る所も出て、そのサラサラのロングヘア―、クリッとした瞳、細く長い手足。身長は170㎝。しかも、モデルの仕事も学校の許可を得てこなしているほどだ。
…つまり、先ほど、本人も言っていたように、校内で一番モテル。
「でもさー…何にもアドバイスされてないような…」
「だから、言ったじゃない。そのままでいいって」
カフェを出て、これ以上金を使うのがもったいなかった俺は、歩きながら、玲子に相談の続きをした。
「そんなすぐ出来れば簡単じゃねぇか!!」
「はぁ!?んなの知らないわよ!!この腑抜け!!」
「…お前…マジ可愛くない…」
「可愛いよ。校内で一番」
「…ですね」
こんな風に玲子が俺を馬鹿にするようになったのは、高校に入ってからだった。それまでは、俺にべったりで、
―中学2年―
「凪くん、一緒に帰ろう」
「あ?俺、今日部活」
「じゃあ、待ってる!」
「んー…まぁいっか。じゃあ、6時には終わると思うから」
「うん!じゃあ、図書室にいるね。帰る時声かけて」
「ん」
「ほんじゃあなー、湊斗!」
俺は、帰りの道を、一人で帰っていた。何か、忘れているような気もしたが、特に思い出せなかったので、そのまま、家に帰った。そして、次の日…。
「おはよー!凪くん!」
「おう、はよ。玲…子…?…あ!!ご!!ごめん!!昨日、俺お前置いて帰ったよな!!??」
「あはは!!良いよ良いよ。疲れてたんでしょ?私の家、近いし。全然大丈夫だよ。気にしないで」
(お前、
(!むかつく!!あいつは…俺の…俺…の…?…なんだよ…。別に、カンケーネーか…)
その頃、確かに俺は、玲子を少し意識しだしていた。おざなりにしていた部分があったのも認めるが、日に日に可愛くなって、性格も良くて、気も付く。女子からだって、信頼があった。勉強も出来たし、3年生になってからは、バレー部の部長と、生徒会長を務める程に、精神的にも、…肉体的にも、成長した。
この時もっと、早く、素直になっていれば、もしかしてこんな状態にならずに済んだのかな…?と、俺は、思っているのだった。
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