おまけ①【女の友情】








Wizardry2

おまけ①【女の友情】



 おまけ①【女の友情】




























 「ねえ、流風ちゃん?一緒にお風呂入らない?」


 「どうして一緒に入る必要があるの」


 「え!?ど、どうしてって・・・。これからお風呂行くんでしょ?なら一緒に入ってもいいでしょ?」


 「大浴場がひとつしかないんだから必然的に一緒に入るじゃない」


 「そうだけど・・・。いいじゃん!一緒に入ろうよ!違うか・・・。お風呂に入って色々お話ししようよ!!お友達になりたいんだもん!!」


 「あなた五月蠅いから苦手」


 「えええええ!?」


 「そういうところ」


 お風呂に入ろうとしたシェリアの前には、流風の後ろ姿があった。


 その手には風呂に入る一式があったため、シェリアは思い切って声をかけたのだ。


 そしたら撃沈されてしまったわけだが、それでもシェリアは諦めずに流風についていき、身体を洗う場所も隣を使うなどして、なんとか距離を縮めようとしていた。


 自分よりも大人びている顔と身体と雰囲気の流風に、少なからず憧れを抱いていた。


 そして髪の毛をまとめて湯に浸かると、シェリアはしれっと近くに入り、そのままそっぽを向きながら距離を縮めた。


 「バレてないとでも思ってるの?」


 「うっ・・・」


 当然と言えば当然なのだが、シェリアが近づいてきていたことに気付いていた流風。


 怒っているようには見えないが、怒っているかもしれないと思いなかなか話しかけられずにいたのだが、覚悟を決める。


 「ね、ねえ!流風ちゃんって、あのジンナーって人のこと、好きなんでしょ?」


 「・・・・・・」


 「わ、私もね!!ソルティ先輩が好きでね、でも、どういう人がタイプかも分からなくて、気持ちも伝えられなくて、どうすればいいのかなーって・・・」


 「・・・・・・」


 沈黙が続き、シェリアはもうダメかと思って流風から離れようとしたとき、流風が口を開く。


 「あなたにとって、大事な人なの?」


 「え?」


 「ソルティって、あの炎使う人でしょ」


 「う、うん!そう!ソルティ先輩って、すごく優しいの!!私、魔法のコントロールが下手くそで、なかなか試験にも合格しなくて。同じ歳の子がどんどん先に行っちゃって、私だけどんどん置いて行かれて・・・。でもね、そんなときでも、ソルティ先輩は応援してくれたの!みんながもう無理だって言ってても、ソルティ先輩だけは、頑張ってとか、大丈夫だよって、言ってくれて」


 「・・・そう」


 「じ、ジンナー・・・さん?って、どんな人なの?なんか、空也と喧嘩してるイメージしかなくて」


 「・・・・・・」


 流風が何か言いだすのを待っていると、頭をこつん、と後ろの壁に置いて天井を見上げる。


 「私たちを助けてくれた人で、私たちを守ってくれた人」


 「優しい?」


 「うん。とっても。あの人がいなかったら、生きてないと思うし、生きたいとも思っていないから。でも、ずっと前から好きだったわけじゃない。あの人がいないとダメなんだって気付いて、それから・・・」


 「・・・・・・そっか。すごいんだね!大好きってすごくわかるよ!流風ちゃん、すごく優しい顔してる!!」


 「・・・・・・」


 「あ、ごめんね!でも、私から見れば流風ちゃん、可愛いスタイルいいから、告白しちゃえばいいのにって思うよ?私なんて、子供っぽいし、魔法もまだまだだし」


 「・・・別に私、可愛くなんてない」


 「可愛いよ!!鏡見た事ある!?」


 「無いわけないでしょ」


 「だよね・・・。でも、本当に可愛いと思うよ!自信持ってよ!!流風ちゃんなら大丈夫だよ!!」


 「・・・ジンナー様は、私のことそういう風に見てないから。デュラと同じで、仲間としか思ってない」


 「そうかな?でも、信頼し合ってるってことでしょ?すごく素敵だと思うよ?」


 「・・・あなた、恥ずかしい事平気で言うのね」


 「え?私何か言った?」


 「あなたはどうなの?その、ソルティとかいう・・・」


 「無理だってことは分かってるんだけど、諦めきれないっていうか、んー、好きだなーって・・・。多分、ソルティ先輩に好きな人が出来たとしても、私はずっとソルティ先輩を好きでいると思う!だって大好きだもん!」


 ニコニコと満面の笑みでそう言い切ったシェリアに対し、流風も少し微笑んだ。


 それをシェリアは見逃してしまったのだが、流風は風呂を出るために縁の方へとゆっくり進む。


 「上手くいくといいわね」


 「え?」


 ゆっくりと振り返った流風は、相変わらず笑っていなかったが、耳を疑う言葉を発する。


 「シェリアちゃん、逆上せるわよ」


 「え?え?あ、うん!」


 ようやく名前を呼んでもらえたシェリアは、嬉しくて嬉しくて、脱衣所でルンルンしていた。


 着替えているとき、ふと流風が呟く。


 「そういえば・・・」


 「なに?どうしたの?」


 「・・・聞かれてないといいわね、私達の会話」


 「え?」


 そう。大浴場は男女が隣り合っており、さらに言うと壁で完全には分断されておらず、大声を出せば向こう側に聞こえてしまうくらいだ。


 それを思い出して、シェリアはなぜか脱衣所でコソコソを話し出す。


 「き、聞かれたかな!?そ、そんなに大声出してた!?」


 「さあ?それに、ソルティって人が入っていたかもわからないし、なんとも言えない」


 「確かに・・・。ジンナーさんが入ってたかもしれないよね」


 シェリアのその一言に、流風は思わず着ようとしていた洋服を床に落としてしまった。


 少しの間固くなっていた流風となんとか風呂場から出ると、丁度空也が男性の風呂場の脱衣所に入るところだった。


 「流風ちゃんじゃない!俺と一緒に入ればよかったのに!!!!」


 「危険よ!流風ちゃんは私が守るわ!」


 「邪魔だ、シェリアどけえええ!!!」


 スタスタと1人で歩いていく流風に気付かず、2人は不毛な争いを続けたという。








 「大丈夫かしら、あの人たち」



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