第9話 敵の姿
この国の中でも質のいい遊女が集まる場所と言われている遊郭だけあって、非常に大きく広い。夜はさぞかし賑わっていただろう。
一番奥にある問題の屋敷は朱色と黒、白を基調にした立派な建物で、小さな城のような構えをしていた。
「着いたよ」
門の前で
立派な門は侵入者を歓迎するかのように
しかもこの門の中の空気は遊郭入り口付近よりも更に淀んでいる。
「
「えぇ、ここから見えるだけでざっと10体」
「
「お前、わかるのか?」
「左目を通して、部屋の中が透けて見える。こんなことは初めてだ」
「
あんたよりよっぽど使える子だよ、と
敵の位置が解れば、作戦も立てやすくなる。
「もっと近づけば分かると思う。1階の構造は見える。入り口から左右に2階に上がる階段、さらに奥に向かって、大きくて四角い何かがあるみたいだ。その奥にも階段なのかな? ごちゃごちゃしていて……」
「う~ん。四角いものって恐らく風呂だね。その奥に階段があると言うことは……」
「めんどくせぇ! ここから入って俺が2階、3階の敵をこれで仕留めてやる。正々堂々と正面から討ち入ろうじゃないか!?」
大弓を掲げながら
「バカ
「じゃぁ、何か良い案でもあるのかよ」
「裏口を探すよ!」
「裏口ったって、遊女が逃げ出さないように出入り口は一つにするのが鉄則だろ?」
「ここは最上級の女が集まる場所だよ? 逃げ出したりするもんか。稼ぐだけ稼いで正面から出ていくのさ。それより、お忍びで来るお偉いさんのための入り口がどこかにあるはずだよ」
「
その時だった、屋敷の扉が開く音が聞こえ誰かが
「
「ちっ、二人ともこっちだよ!」
3人は門から離れ、一番近くにある
しばらくすると馬の
「あれは?」
「あれは、元は人間。死んでもなお戦い続ける、寂しい
死んでもなお戦い続けなければならないなんて寂しすぎる。この妖刀で今すぐ祓うことが正しいと言わんばかりに。
そんな
「しっ、来るよ」
この男からは何人たりとも寄せ付けない、張り詰めた空気がビンビンと伝わってくる。
「
「何だって!?」
代わりに馬を引いてきた、
「
「そのようだね。これはまた乱世が始まるかもしれないよ」
「もう一人の黒い男は?」
「面を被っていてわからなかったな。誰なんだ?」
あたしにわかるわけないでしょ! と
「この中に、坊ちゃんがいることだけは確かなようだな。あんな大物が出入りしてたんだ。ここが本丸に違いねぇ」
「
つかさず3人は空が見える窓際に身を沈め、何かが来るのを待った。
その直後、バサッ、バサッっと大きな翼を羽ばたかせる音が聞こえ、屋敷の3階にある
「なんじゃ、ありゃ? 人の形をして大きな羽を持っていやがった」
「あれは……いや……なぜ?」
「
あまりにも難しい顔で
―― あんなモノが敵にいるとは……この戦い、負け戦かもしれない。
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