第8話 妖の支配 遊郭
「遅い」
「すまねぇ」
一方
「ここから北側ルートを通って、遊郭エリアに入るよ」
「あぁ。
「行ってみないとはっきりと言えないけど……悲観的なんじゃないかしら」
「
「あぁ、そうだよな」
「ったく……あんたたち甘いわ」
人を助ける余裕なんてないわよと、
北側のルート、それは民家の少ない田園を通るルートだった。
既に遊郭に
しばらく進むと目の前に、お城のような塀に囲われた一角が見えてきた。
―― ここが……遊郭。
塀の入り口は1つ。大きな立派な門構えで門の左右には朱色の街灯のようなものが建っていた。
「ついたのか?」
「えぇ。この先一番奥にある立派な3階建ての、あの建物だね」
「
「バカ
「先客も生きていてくれればいいけどね」
「
中は外側の世界と違い、どんよりとした空気が流れている。重たくまとわりつくような空気だった。
「誰もいないの……か?」
「門に近い人たちは、逃げられたのかもしれないわね」
「もう少し、先に進んでみましょう」
ガタンっ。
「
一気に異様な緊張がその場に満ち溢れた。
「人の気配がする」
「待て! 離れるな!」
「ちっ。
音のした
「あ”ぁ……。あぁ……」
バンっと大きな音が響き渡り、続いて襖を蹴飛ばしドカドカと入ってくる足音が聞こえた。
そしてそれは
「いやぁぁぁっ」
目の前で助けを求めていた遊女に、後ろから来た何者かが髪をひっぱりその遊女を畳の上に押し倒した。そして嫌がる遊女に馬乗りになり刀を振り上げたのだ。
「やめろぉーーーーっ」
ドスン。という鈍い音と共に男は倒れ、男の持っていた刀が弧を描き離れた畳の上に突き刺さった。
倒れた男はピクっと一瞬動いたがそのうちぐったりとして動かなくなった。自分に何が起こったのか認識する間もなかっただろう。
見事な連携プレイだった。
それに、相手は人間だったのではないのか? という疑問が
「大丈夫か?
「あぁ。私は大丈夫だ。彼女は?」
「
「
「で、こっちの男は人間か?」
「そうみたいね」
それはあまりにも悲しく、あまりにも優しく、あまりも美しい舞だった。
「これで、しばらくの間ここは安全。あんたたちも何かあったら、ここに逃げ込めばいい。
「あんたは
「ほら、先を急ぐわよ」
「相変わらず素直じゃないね〜」
「あいつ、お前を初めて見た時……
そうか……。そうゆうことだったのか。
「お前たち! ぐずぐずしないでよ」
「あぁ〜今行く」
「あぁ」
目的地は目の前だ。
そして新たな謎が残る。
―― あの女……、生きている人間が喰われてたな。
どこからか逃げ出したと思われるその女を殺そうと追いかけてきた男。
男の服装からして山賊か……。金で雇われた何者かなのか……。
―― 人と
果たして、生きている者がいるのだろうか。
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