第7話 左文字の覚悟
時間はあっという間に過ぎて行く。
長期戦も考えると、弓だけでは心もとない。矢を使い果たすことは命の終わりを意味するからだ。
「出番がないといいがな」
更に
「何をしているのだ?」
「うん? お前にももう一つ武器をな。刀一本で、もし折れたりしたら困るだろう?」
「私はこれだけでいい。これがいい」
「ま、そうだとしてもよ。予備があるに越したことはないだろ?」
ほれっ。と言い
「これを持っておけ。使わなければ使わなくてもいい。接近戦の時に便利だ」
「あ、ありがとう」
「おいおい、この狭い部屋で素振りなんかやめてくれよ」
「あ、ごめん。
「だろ? 両手に一本づつ握って二刀流で戦うってのもありだな。うん、お前ならできる」
俺には無理だけどな、と笑いながら
夕方になりあらかた戦いの準備が整った後、
「お前も来るか?」
「どこに行くのだ?」
裏の山をどのくらい登っただろうか。
「
「……」
無言が辛くなってきたその時、急に木々のトンネルが拓けた。そこには今まで見たこともない景色が広がっていた。
夕陽にキラキラ光る海だ。穏やかで全てを包み込んでくれるような壮大な景色だった。
「うわぁ~」
「遅くなってすまない」
「
「
そう語る
「
「
「
「あぁ~。海に沈む太陽を、ずーっと見ていられるだろ?」
二人は無言で日が沈むのを見つめていた。
口を開いたのは
「
よいしょっと言いながら、
「俺が
―― あの時の悔しさ、後悔を忘れないために……。俺はここに来る。なにも語らない
あの日、まだ二人の身体は温かかった。群がる餓鬼たちを薪で殴り倒した。あいつらは
『すまない……。すまない……』
そう言いながら
『すまない……。俺が……、俺が……』
そしてあの日、
どうにか心を落ち着かせ、誰もいない家へ向かう。
全てが虚しい。
心も体もクタクタになって家へ戻ると、不思議なことが起こった。
家には
『な……』
言葉が出なかった。
あれは夢だったとさえ思えた。手は土で汚れ、服は血で染まっていたが……。
―― でも……実際は……。
「私も……、この景色が好きだ」
自責の念に押しつぶされそうになったその瞬間、
「私は、
「
そろそろ太陽が完全に海に溶け落ちる。
「
「そうだな」
「また来るからな」
二人は装備を整え、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます