第4話 妖ハンターへの道
「帰ったぞ」
質素な作りの家からは明りが漏れ、人影が動いていた。
「とーたん」
「あなた。お帰りなさいませ」
戸が開き、中から幼い男の子と気立ての良さそうな女性が出迎えてくれた。
「
「何してるんだ? 遠慮はいらんぞ。入れや」
「どうぞ、お入りになって。疲れたでしょう? 今暖かいものをご用意いたしますから」
嫁の
「どうした? 腹が減って声がでないのか? ま~飯の前にまずは、風呂にでも入れや」
「風呂……?」
「まさか風呂を知らないなんて言うなよ?」
「ほらほら、二人とも中に入って。今準備をしますから」
「さぁ。こっちだ」
部屋の中は温かく囲炉裏に火が起こされていた。暖かい家族の住む家。土間には米を炊く窯も用意されている。
「この奥に風呂があるから、入ってこい。鬼の血なんかしっかり洗い流してくるんだぞ」
「わかった……」
「さすがになー。俺がお前の身体を洗ってやるわけにはいかないからな」
「あなた、何を言ってるんですか」
「
「服を脱ぐのか?」
「お前な……」
その側で、
「よ、出たか。どうだ? 気持ちよかったろ?」
「あぁ。暖かい水につかるのもいいものだな」
「それを、風呂っていうんだよ」
よいしょ、と言い
「お前……。意外と奇麗じゃねーか」
「そうなのか? 私にはわからん」
「そういや、お前いくつだ?」
「……」
ま、いっか。風呂入ってくると言い、
血の付いた刀を放っておくと錆びて鞘から抜けなくなってしまう。だからいくら血を払ったとしても手入れは必要なのだ。
刀に付いた鬼の血がすーっと消えたのだ。まるで刀自体が血を吸ったように。そして今まで以上に妖しく艶やかな輝きを取り戻していた。
「何が起きてる?」
「それは妖刀だな」
いつの間に風呂から出たのか、
「妖刀?」
「お前……、本当に何もしらないんだな。妖刀っていうのは、妖気を帯びてる刀のことを言うんだ。
ぐぅ~るるるっ。
「腹がへってはなんとやらだ。たくさん食え」
「
あんなに元気に
「まぁ……食えや。うまいぞ」
―― こいつは……、
「
「だろ?
「食ってた?」
酒がまわってきたのか、少し顔が赤い気がする。そして酒の入った器を寂しそうに眺めていた。
「
余計なことを聞いたのかもしれない。気づかないふりをすればよかった。と
「すまない。話したくないならいいんだ。邪魔している分際で……詮索することでもなかった……」
「イヤ……。いいんだ。お前には見えると思っていたからな」
そして
思い出したくない記憶。
「
「残影……」
「あぁ……。俺があいつらをこの世に留めちまったんだな」
「
「さぁな。
もう少し食うか? と
「お前のその妖刀といい、餓鬼を葬った力といい……。磨けば最強のハンターになれるかもな。お前が望むなら、俺が鍛えてやる。それとも、帰るところがあるのか?」
里で暮らすことを考えてはいたが、万が一のことを考え隠しておいたのだ。それを取りに戻りたい。
「里で暮らすことを考えていたから……。帰るところはない。と言った方が正しい気がする」
「お前、面白い物言いをするな(笑)。気に入った。好きなだけここにいればいい」
「私は何をすればいい?」
「そうだな~。お前、飯は作れるのか?」
「飯? イノシシやクマを仕留めることは得意だ。あとはいつも、じいちゃんがやってくれていたから……」
「そうか。じゃぁそこは俺がやるかな。そのうち飯の作り方も教えてやるよ」
「
「なんだ?」
「私を
「本気か?」
「あぁ。本気だ。この刀があれば、
「命を落とすことになるかもしれねーぞ」
「あぁ。それでもいい。私は生かされている意味を知りたい」
『お前は決して
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