第237話 エピソード4
俺がモニターを見つめると、ダンジョン&キングダムの映像が映り始める。いつものゲーム画面とは違う画面が映る。
映ったのは、とことこと画面の端から中央へと歩いてくる、黒猫。シュバルツだ。
折々に現れてゲームの進行や説明をしてくれるシュバルツ。
俺はこのタイミングなんだ、と首を傾げつつも、モニターを注視する。
『シユ閣下により、偉大なるのろし火が上がったにゃ。かつての偉大なる魔王国を再建するための準備が整ったようにゃ。外へ外へと偉大なる魔王国を拡大していくのにゃ。、支配下に治めましょうにゃ。ダンジョンの生み出す魔素が、シユ閣下へ十分な御力を得られたのにゃ。混沌たちを叙勲し、尖兵として支配領域を拡大していくのにゃ』
そこでシュバルツの説明が終わる。
画面が切り替わり、真っ暗な闇の中、金色の糸のようなものがするすると這い出てきて文字を形作る。
『エピソード4 混沌の支配』
するすると文字が這って消えていく。
俺はもう、エピソード4だったっけと一瞬不思議に思うも、そこまで気にすることなくゲームを続ける。
シュバルツの説明通り、どうやら配下の混沌たちへ、叙勲をするようだ。
ずらずらとあだむといぶ、そしてその子や孫たちの名前が並んでいる。
「あれ、シロ……なんていたっけ? しかも十三体」
見慣れない名前のキャラもいる。ダークコボルド達のほとんどがアルファベットと文字なので、そうじゃないキャラの名前が目立つのだ。
カーソルを名前に合わせると、それぞれのキャラの詳細が見える。よくみると、そこには貢献度というパラメータが増えていた。
「ふーん。けっこう貢献度が高い。え、イサイサの子供なんだ。いつの間に……」
俺はシロ達の経歴に驚く。確かにオートで進んでいく部分の多いダンジョン&キングダムなので、そういうこともあるだろうとは思う。
それとは別に、昨晩フルダイブでログインした際にめちゃくちゃイサイサのお腹をもふもふしてしまったことを思い出してしまう。
「うん。深く考えるのはやめよう。あー。ドーバーナとメラニーは貢献度低いな。けっこう
この二体は叙勲はなしだなと、内心呟く。
そのまま、リストの名前を確認していく。
貢献度の隣に、何を成したか書かれていて読んでいくだけでも結構面白いのだ。
──ダンジョン&キングダム、こういうところの作り込みはすごいよなー
気がつけば相当時間が経っていた。
「そうだな、よし。叙勲するのはこの子達で決定、と」
そうして俺は決定ボタンを押すのだった。
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