第179話 ジョブ固有スキル
コボルドヴィラネスのメラニーの使用したジョブ固有スキル、「
そのなかでも特に目立つイケメンオーラをまとった二匹。
切れ長の涼やかな目元に、鼻筋のピンと通ったスカーレットベヒーモス。
そして、黄金色に輝く毛皮を光らせた、レッサーフェンリル。
その二匹が先頭になって、魂の簒奪者へとモンスターたちが襲いかかっていく。
モンスターのテイム自体は人類の探索者でも、特にテイマーと呼ばれるジョブを得たものたちによって行われてきた。
しかし、テイマーのテイムはモンスターを一体しか従えることの出来ないジョブ固有スキルだった。
その点、コボルドヴィラネスはテイムするモンスター数に制限がなかった。
その代わり、イケメンのモンスターしかテイム出来ないという制限はあれど、そのスキルは明らかにテイマーの上位互換といえた。
ちなみにメラニーは特にイケメン好きという訳ではなかった。
ただ、ジョブ特性としてイケメンに好かれやすく、そのため周りにイケメンモンスターが侍っているだけなのだ。
何匹もの高ランクイケメンモンスターの牙と爪が魂の簒奪者へと襲いかかる。
その一撃一撃は、あだむと比べれば微々たる威力だ。しかし無数に繰り出されるそれは、確実に魂の簒奪者の体を削り、何よりも大きな隙を、魂の簒奪者に作ることとなる。
そのサポートをしたのは、緑川だった。
モンスターたちに埋もれるようにたかられた魂の簒奪者の足元を掬うように薙刀を振るうと、タイミングを見計らったイケメンモンスターたちがさっと縦に空間を作るように、統制だって身を引く。
それは、まさに斧の一撃の通り道だ。
その隙間に吸い込まれるようにして振るわれるあだむの斧の振り下ろし。
魂の簒奪者のビジネスバッグはスカーレットベヒーモスとレッサーフェンリルによって噛み抑えられ、防御が遅れる。
次の瞬間、雄叫びをあげたあだむの斧が、魂の簒奪者を両断していた。
真っ二つにさけ、ダンジョンの床に亡骸をさらす魂の簒奪者。
あだむは残身ののち、振り下ろした斧をゆっくりと肩にかけるように持ち上げる、
「戻れ。みんな、ご苦労様」
メラニーがイケメンモンスターたちを手元に呼び寄せる。
その時だった。
くすぶり続けていた魂の簒奪者のスーツが激しく燃え盛り始める。
「──まだです!」
緑川の警告に再び臨戦態勢をとる一行。
燃え盛る炎が、立ち上がり、巨大なドラゴンの姿へと変化していった。
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