第113話 side ??? 3
「アイリスは待っててもよかったのに」
「えー。アイリスもいっぱい黒字が出るとこみたいんだもん。プチプチって肉が潰れて。魂が苦しみ悶えながら軋みをあげて黒字になるでしょ。いつ見てても楽しいんだもん」
空中に浮かぶ、二つの人影。
一つは木馬のおもちゃに跨がり、もう一つはビビッドピンクの大きなクマのぬいぐるみに抱っこされている。
二人の眼下にはこれから授与式が行われる会場。
「お、来たようだね。それじゃあ早速始めるかな。エクストラスキル『
「パパ、頑張って稼いでねー」
木馬に跨がったパパと呼ばれた人影を中心として、その周囲が球状にダンジョンへと変化していく。
「揺籃の大きさはこんなもんかな。エクストラスキル『
空中に現れる一冊のノートとボールペン。パパと呼ばれた人影はそのボールペンでノートに何かを書き込んでいく。
するとダンジョンとかした空間に、何かが現れる。それらは死霊と化した魂たちだ。ヨンナナスタンピードの犠牲者たちの声ならぬ怨嗟の思念が即席のダンジョンの空間を満たしていく。
「うーん。ちょっと足りないなー。レバレッジをきかせるか」
パパはちらりとアイリスの方を見る。
「えっ、パパ?」
「なーに心配しなくていいよ、アイリス。ちょっとした借入さ。すぐに何倍にもして返済するから、ね?」
さらさらと追加でノートに何かを書き込んでいくパパ。
空間を満たす死霊がどんどんと濃くなっていく。
それは遠くから見る人が見たら、上空ということもあって、まるで雲のようにも見えただろう。
「おっけー。量は十分。ぎゅぎゅっと固めて……さあ、あとは物質干渉率を調整して、うまく生物を押し潰せるように少し加工してっと──。よしよしできた。こんなもんかな」
自分の作った物の出来に満足げなパパ。それはレイス系モンスターと良く似た、巨大な一つの球体。
しかし、それを眺めるアイリスは不安げだ。莫大な借入がされているのが、みていてわかったのだろう。
「名付けて人魂メテオフォールってところかな。お、そろそろ始まる時間か」
ガラケーを取り出して時間を確認するパパ。
「パパ。その、大丈夫、だよね?」
「大丈夫さ。ちょうど真下に落とすだけのお手軽さだからね。あの建物の中の特異点の彼はもちろん、他の人たちもみんなまとめてぷちっとなるよ。さあ、人魂メテオフォール、堕ちろ」
そういってパパが親指を下に向ける。
その仕草にあわせて、犠牲者の魂と借入された魂により形作られた巨大な一塊となった人魂が落下を始めた。
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