第5話濾過





世直し、  始めました。

濾過




 すべてを善と悟り、すべてを悪と悟る人間を信じるな。しかし、すべてに無関心な人間は、それ以上に信じるな。


            ラヴァーター




































 第五吾【濾過】




























 「あはははは!!!!」


 「もっとやれよ!!」


 「早く!!こいつまじ最低!!」


 クラス中の男女に囲まれたその中心にいた男の子は、裸で泣いていた。


 そこへ、クラスの担任の教師が入ってきて、その光景をはっきりと視界に入れたにも関わらず、一言こう述べただけだった。


 「ほどほどにするんだぞ」


 みな一斉に良いお返事をすると、その怖いほどの笑みは再び男の子へと向けられる。


 手には色々なものが握られている。


 それは防犯用にと持たされている携帯だったり、痴漢防止にと持たされているスプレーだったり、文房具でもあるハサミやカッターといったもの。


 裸の男の子に、正面にいる女が言った。


 「ねえ、早く出せって言ってんの。あと1分で出せなかったら、下剤入れるからね」


 「なにそれ、うける」


 「教室汚れんじゃん」


 「自分で汚したのは自分で綺麗にしてもらうわよ。ねえ?綺麗に出来るわよね?」


 強要されていることは、自慰行為。


 クラスのみんなの前で裸にされ、そういうことをしろと言われ、しないならば切り落とすとカッターを向けられ、言い知れぬ恐怖だけが男の子を襲う。


 その姿を録画している周りの生徒たちも、口元に笑みを浮かべながら、早くしろと言うだけで、誰も止めることはしない。


 「遅い。だめ」


 びくっと身体を強張らせたとき、その無垢な顔からは想像も出来ないようなものが滴り落ちてきて、女たちだけでなく、男までもが歓喜の声をあげる。


 「うっそまじ?!信じらんない!!!」


 「出した出した!!」


 恥ずかしいのと怖いのと、色んな感情があったが、それよりも、ようやく終わったのだと安心した。


 しかし、女は止めなかった。


 「でも遅かったよね。だから下剤ね」


 「まじでやるの?」


 「だって遅いんだもん。イライラする」


 そう言うと、女は男の子を四つん這いにさせ、近くにいる男に下剤を入れるように命令する。


 何で俺が、と文句を言いながらも、楽しそうに男の子に下剤を入れると、みんなが今か今かと待っていた。


 ぎゅるるるる・・・とお腹が下る音がして、男の子はなんとか出さないようにと耐えるが、それを見て、女がお腹を蹴り飛ばした。


 「ちょっと、何我慢してんだよ。出せって言ったでしょ」


 「やっば。私の机汚れないようにしないと」


 我慢しようと思っても、限界なんてすぐそこまで来ている。


 泣きながらも、呼吸を整えて、そのことだけの集中していた男の子だが、別の男が、先程と同じように男の子の腹を蹴る。


 「!!!!」


 「うげっ、きったねぇえ!!!!!」


 「出しやがった!くっせ!!!」


 きゃあきゃあと、一度出始めてしまったものは戻すことが出来ず、男の子はただ泣きながら、収まるのを待つしかなかった。


 そんな姿も、パシャパシャと写真に収めたり、動画を撮っている人がいると思うと、余計に恥ずかくて、このまま何処かへ消えてしまいたい気持ちになる。


 「ほら、綺麗にしてよ」


 「え?」


 「自分で汚したんでしょ?ちゃんと、自分で食べて、綺麗にしてよ」


 何を言ってるんだろうと、目を見開いた。


 クスクスと笑うだけの生徒たち。


 廊下からも笑い声が聞こえると思って見てみれば、他のクラスの人たちが、今のこの状況を見て同じように笑っていた。


 まるで見世物だが、女の強い口調に逆らうことも出来ず、男の子は自分から出てきたソレに、顔を近づける・・・。








 「なぁ遵平、相談があるんだけど」


 「相談?なに急に」


 「いやさ、実は」


 仄はいつもとは違い、ヘッドフォンもつけずにやってきて、ボディバッグを前に持ってきてそれを抱きしめるようにしながら話しをする。


 「近所の子がさ、いじめに遭ってるみたいなんだよね。それも結構酷いらしくて。助けてあげたいなーって」


 「先生がいるだろ」


 「先生も見てみぬふりなんだって。それに、他の学年の人とかも、笑ってるだけで、誰も助けてくれないって。親には言えないって、泣いてたんだよね」


 いじめの内容をおおかた仄から聞いたが、結構すさまじいものだった。


 「それなら、学校に行かなければいいよ。いじめられなくなる」


 「それがさ、前一回休んだら、家にお見舞いとか言って来たんだって。親に心配かけたくないって、結局学校に行くことにしたみたいだよ」


 「ならお前がなんとかしてやれ」


 「出来ないから困ってるんじゃん。遵平、俺がそういうの得意そうに見える?」


 「ヘラヘラしながら上手くかわせそう」


 「かわせるのは出来るかもしれないけどさ、だって、学校中が敵なんだよ!?どうすりゃいいの!?下手したら俺だって一緒にいじめられるんじゃ・・・」


 「子供にか」


 「今の子供は怖いんだよ!!さっきだって、俺が普通に歩いてただけで、こっちみて指さしてクスクス笑ってたんだから!!」


 「・・・それは多分チャックが開いてたからだ」


 「え?あ!!!」


 慌ててチャックを閉めると、仄ははあ、と珍しく大きなため息を吐いた。


 体育座りをして、膝に顔を埋めたまま、大人しくなってしまった。


 遵平はそれを気にすることもなく、広げたままだった本に目を向け、そこに羅列されてる文字を読んで行く。


 それからしばらくすると、眠っていたのか、目を細めたまま仄が顔をあげる。


 「俺、帰るね」


 「んー」


 とぼとぼと、仄は猫背のまま帰って行った。


 それからも、男の子に対するいじめは続いていた。


 今度はクラス内だけではなく、休みの日に外に無理矢理連れ出して、公園などの公共の場で裸になれと命令をされるようになった。


 まるで犬のように首輪をつけられ、他の人が来るかもしれないというのに、四つん這いで歩けと言われ、犬のように用をたせといわれ、犬と交尾をしてみろとまで言われた。


 警察が近くを通りかかると、男の子の紐を適当な場所に結び逃げられないようにして、他の子たちは逃げた。


 警察に見つかった男の子は、こんなところで何をしているのか、どうして裸なのかと怖い顔で聞かれたが、素直に答えることは出来なかった。


 なんとか紐を解こうとしていると、親に連絡すると言われたため、必死に解いた紐を持って、裸のまま全速力で逃げた。


 「よく逃げ切れたじゃん」


 やっと逃げ切ったと思えば、そこにいたのはクラスの子たちで。


 「じゃあ、お散歩しましょうねー」


 にっこりと微笑みながら、男の子の首輪に繋がっている紐を握りしめた。


 ようやく解放されたのは、8時過ぎてから。


 家から帰ってきなさいと連絡が入った子がいたため、みなそれに合わせるようにして帰っていった。


 すぐにでも服を着たいと思っていた男の子だが、それを察知したのか、女はニヤリと笑うと、男の子の服を近くに川に投げ捨てた。


 「わんちゃんなら、水遊び、好きでしょ?」


 みんなが帰ったあと、男の子は必死になって川に入り、服を探す。


 しかし、川の流れが激しいこともあり、服はどんどん遠くなっていってしまう。


 それでもなんとか手にすることが出来た。


 身につけるには、意味をなさないほど冷たくなっているし、体温を維持するということは出来ないが、身体を隠すという意味では充分だ。


 男の子が家に帰ると、服を濡らしてどうしたのかと怒られ、川に落ちたと説明した。


 部屋に戻ると、男の子は布団にもぐりこみ、人知れず、泣いた。








 「遵平!!遵平!!」


 「・・・五月蠅い」


 「五月蠅いじゃないよ!!大変なんだ!!」


 いつも以上に五月蠅くやってきた仄に、遵平は顔に乗せていた本をどかせる。


 上半身を起こしてなんだと聞こうとするも、それよりも早く、仄に両肩を強く掴まれてしまい、前後に大きく揺さぶられる。


 「大変大変大変!!!!」


 「の、脳みそが出る・・・」


 なんとか仄を止めると、仄は遵平の鼻先に顔が触れるほど顔を近づけてきて、遵平は思わず顔を引き攣らせる。


 「なに?」


 「それが!!!」








 「俺、助けられなかったよ・・・」


 「お前のせいじゃない」


 「でも、なんとかしてあげられたんじゃないかって」


 「どうにも出来ないこともある」


 「・・・・・・」


 喋ったかと思えば、またすぐに黙ってしまった仄に、遵平はため息を吐いた。


 ぽかぽか陽気の中、こんなに重々しい空気を感じざるを得ないとは、どうして今日はこんな日和なんだろう。


 冷たい様な、そうじゃないような、微妙な風を受けていると、仄が声を発した。


 それは、いつもの仄のイメージとは程遠い、低くて、怒りを帯びていた。


 「俺、赦さない」


 「何を?」


 「いじめた奴らも、いじめに気付いていながらも、助けようとしなかった大人たちも。学校はいじめを認識していたのに、今だって認めようとしてない。それどころか、学校ぐるみで隠ぺいしようとしてる」


 「・・・・・・」


 「全員殺しても、まだ赦せない」


 「半狂乱の殺人鬼にでもなる心算か?学校に1人で乗りこんでも、変質者が来たって騒がれて、すぐに捕まるよ」


 「捕まったっていいよ。それで、あいつらのしたことが公になるなら」


 ふう、とため息を吐きながら、遵平は後頭部をかいた。


 「俺は、権威を纏った羊が大嫌いだ」


 「羊・・・?狼じゃなくて?」


 いきなりわけのわからないことを話し始めた遵平に、仄は首を傾げる。


 「狼は自分が恐れられてることも、警戒されてることも知ってる。だから、いざその皮を剥いで襲ってきたとしても、逃げられる可能性がある。でも、羊は自分が守られるべきものだと思っていて、弱いと思われてる。だから、みんな危険だと思わずに近づいていく。だから、いざという時逃げ切れない」


 「狼の方が足速くない?」


 「じゃあお前は、危険な奴だと思ってる男がナイフ持って歩いてたらどうする?」


 「え!?そりゃ、危ないから近づかないよ。殺されちゃうかもしれないし」


 「ね?だけど、もし可愛らしい子供がニコニコしてたら、どうする?」


 「そりゃ、まあ、可愛いなって思うよね。子供だから警戒はしないし」


 「だけど、その子供はお前が近づいた途端、隠し持ってたナイフでお前を刺すんだ。狼相手なら逃げる準備が出来てても、羊だとそうないかない」


 「・・・ああ、なんとなく言いたい事が分かったよ。でも、俺絶対にあいつら赦さない」


 「でも、権威なんてものは、簡単に剥げるものなんだよ」


 よいしょ、と言いながら遵平が立ち上がったため、仄もつられて立ち上がる。


 190近くもある遵平とは15センチ近くの差があるため、少し首をあげないと遵平の顔が見れない。


 まだ眠そうにしながら、遵平はその細くなった目で仄を見てきた。


 「ついてくる?」


 「え?」








 「遵平、何処行くの?」


 「ああ、面倒臭い。ああ、眠い」


 「ねえってば」


 だるいだるいと言いながらも歩いている遵平の後をずっと着いてきた。


 何処へ行くのかも分からないまま着いてくると、自分達が向かっている方向に何か思い当たるものがあった。


 「もしかして」


 思った通り、遵平はあの学校へと向かっていたのだ。


 「遵平、もしかして手伝ってくれるの?」


 「何を?」


 「だから、俺が復讐するのを」


 「やだよ、面倒臭い」


 「え?ならなんで来たの?」


 「んー・・・世直し?」


 「はあ?」


 そう言うと、遵平は学校に平然と入って行く。


 見つかったらやばいのではと、仄は辺りをキョロキョロしながら着いて行く。


 「こう言う時は、堂々としてた方がいいよ。見るからに怪しくなるから」


 「いや、見るからに怪しいよ」


 今は授業中なのか、廊下に出ている生徒たちは1人もおらず、遵平はある教室の前まで来ると、足を止める。


 なんだろうと思って顔を上げれば、そこは自殺した男の子の教室だった。


 仄がドアを開けそうになったため、遵平は冷静に仄の腕を掴んで制止をかける。


 その腕を掴んだまま、ぐるっと色んな教室を見て回ったあと、最後に職員室まで向かい、そこでも一度足を止める。


 「遵平、一体何する気?」


 「そう慌てなさんな」


 呑気な口調の遵平に、仄はただただ言う事を聞くしかなかった。


 また歩き出したかと思うと、今度は屋上へと向かって行った。


 「ねえ、何するの?仕返しにきたんじゃないの?」


 「仕返しなんて面倒なこと、俺がするわけないじゃん」


 「ええ!?じゃあ何しに来たの、ほんと」


 「だからー、聞いてなかったわけ?」


 唇を尖らせて不機嫌そうにしている仄を他所に、遵平は屋上に設置されている大きな貯水タンクを上って行く。


 ひょいひょいと上って行くと、タンクの中の様子を窺う。


 少しして戻ってきたかと思うと、学校のチャイムが鳴ってしまい、次々に生徒たちが下校を始める。


 一旦落ち着くまで屋上にいて、人気が無くなってから遵平と仄は学校を抜けだす。


 「遵平、何してたの?」


 「明日になれば分かるよ」


 「あれ?遵平、それ何持ってるの?」


 「学校の合鍵」


 「いつの間に・・・」


 家に帰ってからも、仄はもんもんとしていた。


 結局、遵平は何をしに行ったのか、そしてどうして自分を連れて行ったのか、何もわからないままだ。


 だが、遵平は明日になれば分かると言っていたから、大人しく寝ようとは思ったのだが、悶々しすぎてなかなか寝付けなかった。


 しかし気付いてみればぐっすり寝ていて、起きたのは翌日の10時を回ったところだった。


 もう学校は始まってる時間だな、と思いながらニュースを見てみると、仄はつけてすぐのテレビを消し、すぐにいつもの格好になって遵平のもとへと向かった。








 「遵平!!どういうこと!?」


 「五月蠅い」


 「五月蠅いじゃないじゃん!!ニュース見てびっくりしたよ!!」


 「騒ぎ過ぎ」


 「だって・・・!!」


 そう言うと、仄は機械を操作し始め、そこに映像として流れているニュースを見せる。


 そこには警察が大勢いて、他にもマスコミ関係者、野次馬で埋め尽くされていた。


 そのニュースをちらっとだけ見ると、遵平は起き上がり、大きな欠伸をしながら歩きだしたため、仄は着いて行く。


 すると、ニュースに出ていたあの学校の前に来ていた。


 そこにいるマスコミ関係者たちは、このような内容を報道していた。


 「最新情報です。学校専用の貯水タンクから毒物が発見された模様です。その毒物により、校長、教頭を始め、全教員と全校生徒が亡くなったとのことです。え?あ、また、新しく入った情報です。あるクラスだけ、毒物で亡くなったのではなく、え、これ大丈夫なんですか?はい、はい・・・。ええと、あるクラスだけ、全員裸の状態で天井から宙づりされていたようです。床一面には血液と思われる液体がありましたが、誰一人として、暴行された形跡も、何かで切られたような痕も、何もなかったということです。このクラスの教員と生徒のみ、死因は未だ不明です。また、このクラス内で行われたと思われる、いじめの映像が、マスコミ各所に送られてきたそうです。そこには悲惨ないじめの状況と、いじめを見ていながらも何もしなかった教員の姿もしっかりと残されていました。しかし、匿名から送られてきたもので、誰がその映像を録画し送ってきたのか、判明していません。先日自殺したと報道されました少年は、この学校出身ということで、壮絶ないじめから逃れるための自殺だったのではないかと思われます。現場からは以上です」


 「遵平、これって・・・あれ?」


 くるりと横にいる遵平に声をかけてみた仄だが、そこに遵平はおらず、辺りを見渡すとすでに数メートル離れた場所にいた。


 小走りで遵平に近づくと、仄は隣で歩いている、いつもと変わらない様子の遵平に声をかけようと口を開く。


 しかし、遵平は一度足を止めると、少しだけ学校の方を見る。


 鼻から下は本で隠れて見えないが、目元だけ見れば、いつもの遵平だ。


 そして、一言こう呟いていた。








 「はい、成敗完了」








 「え?遵平?」


 名前を呼ぶと、遵平はゆっくりと仄を見る。


 本当にちらっと見ただけで、すぐに目線を本に戻すと、再び歩き出す。


 「仄」


 「なに?」


 「俺は、腹いせの可愛い復讐なんて、面倒でやらないよ。だから俺がやってるのは」


 そう言うと、遵平はまた、本で顔半分を隠した。


 しかし、今度は目元が少しだけ笑った気がする。








 「徹底的な世直し」








 目を見開いたまま、仄は固まってしまった。


 遵平は気にせず歩みを進めていき、その背中を見ている。


 怖いとか、恐ろしいとか、そういう感情なんて無かった。


 正義さえ買える世の中になったのなら、その正義を正すために、こんな歪んだ英雄がいたっていいじゃないか。


 他人を苦しめておいて悠々と生きてるなんて、そんな奴は、根本から排除していかなければいけない。


 仄はその場で笑いだした。


 そして遵平の後を走って着いて行くと、ボディバッグからプッキーを取り出して、そのうちの1本をあげた。


 「いいね、世直し。俺にも出来るかな」


 「止めときな。家族がいる奴がやることじゃないよ」


 「いいんだ、俺もう、覚悟決めたから。この世から、ああいう奴を1人残らず潰して行く」


 「言っておくけど、金にはならないよ」


 「だろうね。でもいいよ。俺にもやらせて。手伝いたい」


 「・・・じゃあまずは」


 「うん、まずは?」


 「あそこでオリジナルパフェ奢って」


 「ばっちこい」








 何が正しくて何が間違っているのか。


 何が正義で何が悪なのか。


 何が真実で何が嘘なのか。


 何が白で何が黒なのか。


 表に見えることだけが、全てではない。


 正義が真実でもなければ、悪が嘘でもない。


 真実が白でもなければ、嘘が黒でもない。


 白が正しいわけでもなければ、黒が間違っているわけではない。


 そうしてまた、人は迷う。


 正義なのか、真実なのか、それらを疑うならばきっと、信念しか信じられない。


 自分の中にある信念こそが、最終的な出口なのだと分かれば、人は迷わず出て来られる。


 その道の途中で、どんなに甘い誘惑があっても。


 「遵平、肉まんだよ」


 「珍しい。俺の分まで買ってくるなんて」


 「買って来てないよ?これは肉まんだよ?って教えてあげただけだから」


 「・・・・・・」


 「痛い痛い痛い!!!ごめんてば!ちょっと冗談言っただけじゃん!!」


 「言っていい冗談と言ったらダメな冗談があるんだよ。それはダメな方だから」


 「え、いい方でしょ。俺が遵平の分まで買ってくるわけがないんだから」


 「あー、ホールケーキ喰いたい」








 彼はその独りにすぎない。




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