プロローグ3 新緑の妖術師:ホープ・セフィロティア・バーム・スペル
〝
樹木精霊の亜人族。亜人族の中でも少数派の精霊種族の亜人であるものの、
男性の個体はドリュアス、女性の個体はドライアドと呼ばれる。
気に入った人間を本体である樹木のなかに取り込むという伝承が残っている。
☆☆☆☆☆☆
頭の上には芽のような葉っぱがあり、ふよんふよんと揺れている。鮮やかな淡い緑色のショートヘアー。眠そうながらも開いている芽には、エメラルドのような、あるいはそれ以上に透き通った緑の瞳がある。鼻も口も耳も少し小さく、幼いような印象を受ける。(https://kakuyomu.jp/users/milklupia/news/16817330657850796629 )
眠そうな表情のまま、とてとてと歩く。純白の少年から少し離れたくらいで止まり、ふわ~っと欠伸をする。
「『
掌を上に向けて開く。仄かに手元が光り、徐々に緑色の球体が形成されていく。すっと左回りで腕を動かして、掌を下に向ける。玉もそれにそって動き、地面に落ちていく。地面に転がると思いきや、溶け込むように地面に沈んでいく。沈んだところを中心に、緑色の魔法陣が広がっていく。
数秒で、現在いる部屋(空洞)の全域に広がった。
彼女は依然眠そうなまま、アンデッドのいる方向へ腕を伸ばす。
「落葉性木本“ジメジメツル”~、〝縛れ〟〜」
周囲の壁や天井に張り付くように育っていた蔓の一部が、彼女の言葉と挙動に従うように動き出した。数本の蔓はアンデッドに絡み付き、さらに数本の蔓はクロルとハセラに絡み付いた。
ハセラに絡み付いた蔓が、刀を握る手に触れる。
「〝退かせ〟〜」
「うわっとと。」
「ん~、重い〜…」
アンデッドは固定したままで、ハセラを2mほど動かす。ハセラが動いたことにより、ようやくクロルはアンデッドの存在を視認した。
「クロル〜」とスペルが呼ぶ頃には、彼女は弓の弦を引いていた。アンデッド目掛けて一本の矢を放つ。
「ゔぉゔっ……」
アンデッドの眉間にトスンッと矢が刺さる。徐々にゆっくりと、黒いドロッとした血が流れていく。
展開した魔法陣がパッと消え、ハセラの拘束が解ける。アンデッドはそのまま後ろへと倒れる。スペルは用が済むと、トテトテと少年のところに戻り、横からぎゅーっと抱き締める。少年は特に何か言うわけでもなく、口を結んだまま、右手で彼女の背中や腰の辺りを撫でる。
「ほらどけ脳筋。ありがとねスペル!」
「ん〜……んふ〜……」
「あれ、聞いてる?」
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