大文字伝子が行く121

クライングフリーマン

大文字伝子が行く121

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。

 大文字学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのAI(アナザー・インテリジェンス)と呼ばれている。

 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」と呼ばれている。

 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。

 愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。

 物部一朗太・・・伝子の大学翻訳部同輩。当時、副部長。

 依田俊介・・・伝子の翻訳部後輩。元は宅配便配達員だったが、今はホテル支配人になっている。

 福本英二・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。大学は中退して演劇の道に進むが、今は建設会社非正規社員。演劇は趣味として続けている。

 福本祥子・・・福本の妻。昔、福本と同じ劇団にいた。福本の劇団の看板女優。

みゆき出版社編集長山村・・・伝子と高遠が原稿を収めている、出版社の編集長。

 藤井康子・・・伝子マンションの隣に住む。料理教室経営者。

 森淳子・・・依田や南原蘭が済んでいたアパートの大家さん。

 大文字綾子・・・伝子の母。ずっと、犬猿の仲だったが、仲直り?した。だが、伝子には相変わらず「くそババア」と呼ばれている。

 副島はるか・・・伝子の小学校の書道部の先輩。彼女の父が書道部顧問。EITO準隊員。書道だけでなく、剣道も2段。

 金森和子二曹・・・空自からのEITO出向。

 増田はるか三等海尉・・・海自からのEITO出向。

 馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。

 大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。

 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。

 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。

 新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。

 結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。

 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。

 日向さやか(ひなたさやか)一佐・・空自からのEITO出向。

 伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。

 葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。

 越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。

 高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。

 小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。

 下條梅子巡査・・・元高島署勤務。

 夏目警視正・・・警視庁副総監の直属。斉藤理事官(司令官)の代理。

なる。EITO準隊員。

 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。みちるの夫。

 青木新一・・・伝子にとって、最初の事件で出逢った高校生。Linenのグループを2つ持っていて、行方不明者や不審者の捜索に協力して貰うこともある、情報通。

 草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。

 青山たかし・・・EITO準隊員。エレガントボーイ。

 筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。伝子と一時付き合っていた。警視庁副総監直属の警部。今はEITO出向。エレガントボーイとして、ホバーバイクに乗る時もある。

 天童晃・・・EITO準隊員。EITO剣道顧問。

 南部(江角)総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。

 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・元レディース・ブラック7のメンバー。EITO参加予定

 中込みゆき・・・元レディース・ブラック7のメンバー。EITO参加予定。

 海老名真子・・・元レディース・ブラック7のメンバー。EITO参加予定。

 来栖ジュン・・・元レディース・ブラック7の総長。

 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。通信担当。

 白井紀子・・・EITO大阪支部メンバー。資材・事務担当。

 芦屋一美(ひとみ)警部・・・三つ子の芦屋三姉妹長女。大阪府警からの出向。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。

 芦屋二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。

 芦屋三美(みつみ)・・・芦屋財閥総帥。総合商社芦屋会長。EITO大阪支部のスポンサー。総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。

 南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。

 横山鞭撻警部補・・・大阪府警の刑事。

 幸田所員・・・南部興信所所員。総子のことを「お嬢」と呼ぶ。

 花菱所員・・・元大阪阿倍野署の刑事。今は南部興信所所員。

 小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

 真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。


 市橋早苗総理・・・移民党総理総裁。

 吉本博文・・・大阪府知事

 御池花子・・・東京都知事。総理に不満と嫉妬を抱いている



 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO精鋭部隊である。==

 ===== (大文字伝子が行く120から)=====


 午後3時。大阪。中之島にある、ビルの一室。

 「あなたは、支店長と違いますのん?」と、吉本知事は言った。

 「昨日までの支店長は海に沈んでいるよ。丁度似ているから、私が選ばれた。今日から私が支店長だ。」

 「兄ちゃん、どうしよう?えらいことに巻き込まれたわ。」「何か嫌な予感がしたんやけどなあ。しゃあない。腹くくるか。知事を誘拐して、身代金取るんか?俺らは金持ってへんけど。」

 「うるさいきょうだいだな。まあ、ゆっくり料理してやるよ。店は今時分、バーベキューになってる。その後だ。」男は笑った。

 午後3時。シューキング大田大阪支店、創業祭会場。

辺りは水浸しだった。鎮火させる為、MAITOが消火弾を上方から会場に落したからだ。

 ぎんは、EITOエンジェル姿で、会場に立っていた。

ぎんに、馬場と横山警部補が寄って来た。「サブチーフ。避難誘導は大体終ったよ。」とエレガントボーイ姿の馬場が言った、その時、発砲があった。

 「危ない!」ぎんの声で馬場と横山は伏せた。

 「横山さん、警察の応援を。馬場さん、戦闘態勢に入ります。」

 横山は、身を低くして、会場を突っ切って、走り出た。

ぎんは、DDバッジを押した。

 敵は、正面から向かってきた。その敵の一団に左右から、シューターが飛んできた。そして、ペッパーガンからこしょう弾が撃ち込まれた。

会場の西側方向から、来栖、和光、中込、海老名が突っ張り棒を持って、会場の東側方向から、祐子、悦子、真知子、真美がバトルスティックを持って、雪崩込んで来た。

 100メートル下がったところに、機動隊と、小柳警視正、横山、真壁が待機した。

 午後3時。東京。高速1号線。

 メルセデスAMGは、マセラティを追って走っていたが、三美の助手席側のディスプレイに、あつこが現れた。

 「工藤。500メートル先に非常線を張った。芦屋さんが、非常線手前でマセラティに回り込むから、大町と一緒に飛び降りて、奴らを迎撃して。得意の技を見せてやりなさい。」「了解しました。」と、2人同時に返事をした。

 午後3時。晴海埠頭。スーパーカーフェスティバル会場。

 泉が、イベントのMCをしていると、那珂国人らしき一団が現れて、爆竹に火を点けた。泉が数えると、。ざっと30人はいる。泉と瀬名は覚悟を決めた。

スーパーカーに火を放つ積もりだ。全部燃やされてしまう。

その時、「待っていたぞ、愚か者達。」という声が聞こえた。

 紫頭巾と銀頭巾、即ち、副島と天童だった。

 一団が、声の方に向くと、一団の後方から、矢が飛んできた。拳銃を持っていた者達は、拳銃を落した。田坂と安藤だった。

 男達は矢が腕に刺さって、持てなくなったのだ。一方、違う方向から、水流ガンから放たれた、水弾(グミ弾)が他の者の拳銃や機関銃を当たって弾けた。水の弾は改良され、グミ状になって、拳銃等を使用不能にした。

 一団は、刀を抜いた。増田、馬越、稲森と、天童、副島、静音は剣で闘う体勢になった。

 午後3時。東京。銀座。シューキング大田東京本店。

 屋外のイベント会場に、御池都知事は現れた。MCの利根川に紹介された御池は上機嫌で、イベントを、シューキング大田を褒め、自分が推薦する、統一地方選挙の候補者の名を口にした。

 「似合わないな、ブス都知事。」その声にムッとなって、向き直った都知事は、自分と、観客席に向けられた機関銃を見た。一団は50人以上いる。

「じゃあ、お前は醜男だな!!」その声に驚き、リーダーらしき男が見ると、舞台奥から、エマージェンシーガールズが現れた。

 MCの利根川と、エマージェンシーガールズの一人が舞台袖から現れ、都知事は外に連れ出された。

 そして、隊長らしき人物は、片手をぶらんとしながら、片手で醜男と呼んだ、リーダーの男を平手打ちした。

 リーダーが驚いている内に、警官隊が観客の避難誘導を始めた。

 「みんな、分かってるな。避難する方向がバラバラにならないように誘導するんだ!」

 物部の言葉に福本、服部、山城、コウ、蘭、文子が頷いた。物部達は警官隊を手伝って、避難誘導を始めた。

 「クソっ!!やっちまえ!!」と言ったリーダーの男の声に我に返った一団の男達は、エマージェンシーガールズに銃を向けた。

 「ここにもいるぞ!!」また、別の方角から声がして、EITOエンジェル姿の芦屋二美が現れた。一団の男達は、メチャクチャな闘い方を始めた。

 それを、あざ笑うかのように、二美と、エマージェンシーガールズ姿の結城、江南、なぎさ、浜田、飯星はシューターやブーメランであしらいながら、縦横無尽に動き、バトルスティックを駆使して闘って行った。

 午後3時。総理私邸。総理の書斎。

 現れた覆面の男2人は、金森とみちるに取り押さえられていた。

 エマージェンシーガールズ姿の金森は言った。「では、お巡りさんに引き継ぎます。逮捕連行をお願いします。」

 総理は、にっこりと笑った。

 午後4時。大阪。中之島にある、ビルの一室。

 EITOエンジェルス姿の美智子と稽古は、誘拐犯の隙を見て奇襲。送り襟絞めにして、気絶させた。稽古は、DDバッジを押した。

 「遅なって、ごめんなさい。」と、美智子は言った。

 2人は、吉本知事と大前、総子を助け出した。

 大前は、美智子に尋ねた。「あっちはどうや?」「大国町界隈で暴れてるそうですけど、すぐに平定するでしょう。」

吉本知事は総子に尋ねた。「ひょっとしたら、わざと?」「はい。内緒にしてくれはる?知事。」「はい。」

 午後4時。地下鉄大国町駅付近。

 機動隊と、小柳警視正、横山、真壁が犯人達を逮捕し、連行していった。

野次馬に混じって、見ていた南部は、花菱に尋ねた。「総子の方は?」「終ったっていう信号来てますで。」と花菱はスマホの中の『連絡用アプリ』を見せた。

 午後4時。東京。晴海埠頭。スーパーカーフェスティバル会場。

 警官隊が逮捕連行して行くのを見ながら、増田は、スマホでEITO本部に連絡をした。

 「隊長。終りました。」「よくやった、隊長補佐。みんなと帰って来い。」と、伝子の声がした。

 午後4時。高速1号線。

 かかと落としで敵を倒した工藤と、ラリアートで敵を倒した大町は、ハイタッチをした。

 非常線にバリケード代わりに並べたショベルカーの陰から警官隊が現れ、犯人2人を連行した。

 愛宕が、「ご苦労様です。わざわざ大阪から来て頂いて。」と、愛宕は三美に敬礼をした。

 「泉さんは、父の知り合いなの。元々、このイベントに参加していたのよ。私は会場にUターンするわ。貴方たちは?」「オスプレイに迎えに来て貰います。」と、大町が応えた。

 工藤は、本部に連絡を入れた。「了解した。本部に帰還せよ。」という声が、スマホから聞こえた。理事官だった。

 午後4時。銀座。シューキング大田本店。

 エマージェンシーガールズによって、一団は一網打尽にされ、都知事は帰って行った。

 オスプレイが上空に飛んできた。

 スマホで、副島は連絡をした。「はい。」高遠が出た。

 「私と天童さんは、銀座でブラブラしてデートして帰る、と大文字に言っておけ。」と、副島は、高遠に言った。

 午後5時。EITO大阪支部。作戦室。

 愛川いずみが、オスプレイの本郷2佐からの通信を受信した。

 「こちら、本郷。EITOエンジェルスは作戦遂行済み。メンバーを回収して帰還します。コマンダーとチーフは、芦屋警部に逢いに藤島病院に向かうそうです。吉本知事も府庁に戻られました。それから、南部興信所の面々は、『後片付け』をしてから帰社するそうです。」

 「了解しました。本部に伝えます。」

 通信を東京本部に切り替えようとすると、白井紀子がやって来た。

 「総ちゃん、無事やったん?良かったわ。」

 「みんな、無事よ。」

 いずみは、東京本部に繋いで、状況報告をした。

 午後5時。EITO東京本部。作戦室。

 マルチディスプレイに、大阪支部の、いずみが映っている。

 「了解しました。こちらは、総理も無事、武智大臣も無事、泉さんの車は無事でも無いけど、ご本人は無事。シューキング大田本店部隊も帰還途中。支店長は偽物だったということですが、本店店長は本物だった、と報告がありました。」と、伝子は報告した。

 画面の端のディスプレイから、高遠が言った。

 「みゆき出版社編集長の山村さんは、本店店長と昵懇なので、間違いありません。」

今度は夏目が発言した。

 「いずみさん。頼りになる通信士だ。大前さんが留守番させるだけのことはある。静音さんも活躍していますよ。ねえ、アンバサダー。」

 「ええ。もう立派な戦力よ。支部も本部も新人が増えて、万全の体制よ。」

通信を終えると、理事官は、「これから、どうなるかな?しかし、スーパーカーイベントは、ギリギリのセーフだったな。これも、高遠君の提案かね?」と伝子に尋ねた。

 「ええ。泉さんは、プライベートイベントということで、あまりご自分で宣伝をされていなかったそうですが、青木君から聞いて、よもや?と思ったそうです。ブラックスニーカーが出したヒントは靴屋のイベントでしたが、他にも何かやらかす筈だが、と思っていたら、このイベントのことを知ったので、急遽組み入れました。大西と争っていた武智大臣や総理は警護の必要があるな、と私も思っていましたが。芦屋総帥が自らイベントに向かうと聞いたので、白バイ隊の出動要請は無しにしました。」

 作戦室に、青山と筒井が入って来た。

 「会議室で、戦闘情報を取りながら、状況を確認して指導、なんて凄いアイディアでしたね、我がエーアイは。」と青山が言った。

「シミュレーションより効果があったかも、知れません、理事官。」と、筒井も同調した。

 「うむ。私もそう思う。新人は、今はあまり教育時間が取れないからね。大いに実践に役立てて貰いたいものだ。」

 午後6時。伝子のマンション。

 今日は、森が編集長山村と共にやって来た。森淳子は、かつて、依田や蘭が済んでいたアパートの大家である。

 「おはぎの材料、持って来たわよ。」と森が言い、「おはぎね、実は私は作るの、得意なのよ。混ぜて貰える?」と山村が言った。

 「勿論よ。助かるわ。明日、あの子達も食べさせてあげたいの。」と、綾子は言った。

 「いいお母さんねえ。」と山村が言うと、「その、いいお母さんに、いつもクソババアって言ってるのよねえ。」と、藤井が揶揄った。

「まあ、ニックネームみたいなものですから。」と高遠が言うと、「婿殿。頂けない ニックネームだわ。」と、綾子は膨れた。

 ドアホンが鳴ると、伝子が帰って来た。「腹減ったあ。何?おはぎ?お彼岸もう杉田玄白。」

 「笑えないわよ。手を洗ってきて。」と、綾子が言うと、「はあぁい。」と、伝子は 洗面所に向かった。

 「嫌に素直ね。」と、綾子が言うと、「森さんのお陰かな?」と高遠が言った。

皆は、首を傾げた。

 高遠のスマホが鳴った。伝子が洗面所から戻って来て、スマホに出た。伝子はスピーカーをオンにした。

 日向だった。「さやか。お前、命令違反したな。なぎさに迷惑かけたのか?」

 「お仕置き部屋行きですね、おねえさま。」「嬉しそうな声を出すな。なぎさと一緒に来るんだ、さやか。バツとして下痢するまで、おはぎを食べろ。命令だ。」

 「了解しました。」

 藤井が高遠に、Vサインを送った。

 ―完―


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