スーパーでデートはほぼ夫婦
「はぁ...あんた、言い方ってもんがあるでしょ?」
「すみません...。」
顔がほんのり赤くなった透が呆れたように言ってくる。
「で?あたしは料理を作りに来ればいいの?」
俺は透の料理を食べた後、思わずこれからも料理を作りに来てくれるように提案をした。
「もちろん、給料は払う。 食費も出す。」
透は少し考えた素振りを見せる。
「......まぁ、悪い条件じゃないし......あ、でも給料はいらないわ。食費が浮くだけで十分よ」
「そうか?遠慮しなくてもいいんだぞ?」
活動のおかげで、金銭面は不自由していない。
「あんたねぇ...クラスメイトからお金貰って料理するなんて嫌に決まってんでしょ?
あくまで私たちは対等。 貰うのは食費だけ!これが出来ないなら料理作りに来ないから!」
それは困る。
「......わかった。 透がそういってくれるなら......」
俺はその条件をのむ。
「じゃあ、明日の放課後、あけといてね?」
「明日も一緒に帰るのか?」
「まぁそれもあるけれど......海斗の家の冷蔵庫なんもないから買い物に行くのよ」
そういえばろくな食材を買った覚えがないな......
「わかった」
俺はそういって了承する。
......「さて、行くわよ」
次の日の放課後、俺たちは約束どうり、校門の前で待ち合わせていた。
「にしても......お前といると目立つなぁ......」
それは前から感じていたことだった。やはり、学年一の美少女と隣り合わせで帰るとなると注目の的にならざるを得ない。
「あら?私は助かるわよ?あなたと付き合ってるとかいう噂もあって、声をかけてくる異性も減ったし。」
「いいのかよ......俺となんかと付き合ってる噂なんて出て......お前の評判に傷がつくんじゃないのか?」
「いえ、あなたが垢抜けた~とかで今は学年中の女子の注目の的よ?あなた。」
そんなことを言ってくる。
「そうなのか?身の回りは特に変化はないように感じるが.....」
「私がいるからでしょう?あなたの彼女だと思われてるから手を出せないのね。あなたも面倒なことを回避できるし、Win-Winってやつじゃないかしら」
「お前がいいならいいけどよ......」
学年中の女子......というのは言い過ぎにしても、香の一件から周りから全く見られないということもなくなった。 多少変化があるのは事実だろう。
......俺たちはスーパーについて買い物をしていた。
「よし、一応聞いておくけどアレルギーとか嫌いのものとかない?」
「アレルギーはない。嫌いなものはピーマンだ。」
「そんな自信満々に言わないで......案外子供っぽいのね」
呆れたような表情で商品棚へ目線を落とす。
「なにか食べたいものはある?」
「そうだな......手間とかを考えないなら、ハンバーグ......とかかな」
そういったところで、きょとんとした顔でこちらを見てくる透に気が付く。
「......どうしたんだ?」
「あ、あぁ。 あなた、優柔不断そうだからどうせ『なんでもいい』とか言ってくるんだとおもってたわ。」
「失礼なやつめ......今日の晩御飯を聞かれたら正確に答える。それが作ってもらう側の使命だと思ってる。」
「そんな誇りみたいに言われても......でもいい考えね。」
くすっと笑い、ハンバーグに必要な材料を探し、歩き始める。
(もし結婚したら.......こんな感じなのかな......)
そんな遠い話を考えながら、俺は透の横に並んで歩いた。
「会計は俺がしとくから、先にレジ袋に商品を入れておいてくれ。」
「わかったわ」
そういって、透はレジから移動し、商品を袋に入れ始める。
会計を済ませた俺は、会計に使用したスマートフォンをポッケにしまいながら透の横に立つ。
「そういや透、電子決済のアプリやってるか?」
「やってないけれど......どうして?」
「これから透が一人で買い物するときがあるかもしれないから、お金送れる機能で先に渡しときたいんだ。」
「まぁ......そういうことなら......」
そういって透はスマホを差し出してくる。
俺は軽くスマホをいじって、いつでも送金ができるようリンクさせる。
「とりあえず、軽く送っておくな」
最低限困らないであろう額を送り、スマホを透に返す。
「にしてもお前、壁紙おれじゃねーか」
「う、うっさいわね!別にいいでしょ!ラク様のファンなんだから!」
頬を赤らめて怒ってくる。
「別に攻めてねーだろ?あ、袋持つよ」
ひょいっと透の右手にあったレジ袋を奪う。
「あ、ありがと」
「おう。二人分の食材を女の子に持たせるわけにもいかないしな」
「そういえば私、このアプリの使い方知らないんだけど」
そういってさっきの電子決済アプリの画面を見せてくる
「あ~、ここを押すだけで決済の画面が出てくる。あとここが残金。少なくなってきたら俺に言ってくれ。」
「なるほど~......え?」
「どうした?」
そう聞き返したものの数秒間返事が来ない。
「あ、あなた、額がおかしくない?ろ、ろ、六桁あるけど......」
「ん?あぁ、自炊したことないし、多めに入れといた。」
「多すぎるわよっ!!」
「そ、そうか?」
あまり家事に必要な金額に詳しくなかったが、どうやら必要過多だったらしい。
「まぁ受け取っててくれ。 別に友達と遊びに行くときにも使ってくれて構わない。」
「使わないわよ!そういうのであなたを頼ったら......なんかダメな気がするし......」
(しっかりしてんだな......)
「まぁ、使い道は任せる。」
そんなことを話している間に家に着く。
「どうぞ」
「お邪魔します」
透のおかげで綺麗になった室内は、今までの俺の部屋とは思えないほどだった。
「さて......料理するからその辺に座っといて。」
「わかった」
そういって俺はリビングのソファーにすわり、テレビをつける。
「にしても......海斗こんなにいい調理器具あるのにホントに料理しないのね。もったいないわ」
そういう透はいつもと違うキッチンに鼻歌交じりでご機嫌だ。
「そんなにいつもと違うキッチンがいいのか?」
「それもあるけど......私のマンションは一般人用なのよ。ここみたいなお金持ちの人が住む豪華なキッチンは初めてだから......」
「そうか」
そういって俺はテレビへ視線を移す。
ときどきリビングまで流れてくるいい香りに食欲がそそられまくりだった。
「海斗、できたわ」
テレビを見ている俺に透が声をかける。
「わかった」
俺はテレビを消し、机に座る。
「「いただきます」」
二人でそう言って食べ始める。
「......やっぱりうまいな......」
「そう?ありがと」
素直にでた言葉に透は少しうれしそうに反応する。
「そういえば、もうすぐ期末テストだけれど、大丈夫そう?も、もしあなたが望むなら......い、家に教えに来てあげてもいいけれど?」
透は少し恥ずかしそうに提案してくる。
「あぁ、それは心配いらない」
「なんでよ!私、新入生代表だし、前のテストも2位だったし......教えてもらえるの結構ラッキーだとおもうけれど?」
不服そうにほっぺを膨らませて抗議してくる。
「いや、だって俺学年一位だし。」
「え?」
ぽかんとした表情でこちらを見る。
「入試も一位だったけど、みんなの前で声出さないといけないから挨拶はしなかったんだ」
はぁ。と透がおおきなため息をつく
「海斗って、何でもできるのね」
少し悲しそうな表情でつぶやく
「そんなことない。事実、今はお前がいないと生活ができない」
「そ、そう?」
嬉しそうに透が言う。
そんな談笑をしながら二人は箸を進める。
「「ごちそうさまでした」」
二人で同時に食べ終え、食器を流し台に持っていく。
「あ、洗い物は俺がやるから、透はゆっくりしててくれ。」
「悪いわよ」
「いや、俺がやりたいんだ」
「そう?じゃあお願いするわ」
そういって透はソファーでテレビを見始める。
洗い物が終わった後、俺は透の横に座り、一緒にテレビを見ていた。
「もう八時前か......帰らなくてもいいのか?」
「私、一人暮らしだし、家も近いし、別にいつでもいいわ。」
「そうか......俺八時から配信するし、帰りたい時に帰ってくれ」
「りょ~かい」
少し眠そうな透に鍵を投げる
「それ、俺の家の鍵だから。 帰る時に鍵しめてくれ。」
「うん.....うん?」
眠そうだった透が飛び跳ねる。
「ふぇ?あ、合鍵?」
「そうだが......?俺が配信関係の仕事とかでいない時、勝手に入っててくれていいから。」
「え、えぇ......?///そんなの......いいのかなぁ......///」
少しニヤついた顔の透は、必死にニヤつくのを抑えようとしていた。
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