「予感」なんて、そんな甘っちょろいものじゃない

百合の友

一話完結

素晴らしい一日となる確信がある。

今朝の占いはみずがめ座が9位だった。うーん……でもてんびん座は1位だったから良いかな!制服に身を包んで、馴れない満員電車に20分。登校したら花を愛でて、退屈な授業。喧噪を忘れたくてイヤホンをする。大切な人がくれた大事なプレゼント。前に先生にそれを伝えたせいかな?複雑そうな顔で見事スルー!ラッキー!

お昼になったから屋上……は鍵が閉まってて入れないけど、まぁいいや。

大好きになった音楽を聴いてたら、あっという間にチャイムが鳴っちゃった。

5秒くらい考えて、サボることに決定!今日は大事なパーティーだし、買い出ししなきゃ!

ドンキでイヤホン越しに会話しながら、何にしようか相談してカゴに突っ込んでいくんだけど、アルコールは未成年だから買えなかったし、結構高かった……制服で来たのは失敗だったかも。

まぁそういうこともあるよね!そうして夜が来て、大量の荷物を抱えて夜の学校へ侵入!

施錠が緩いトイレの窓から華麗に侵入した私は、誰にも見つからないようコソコソと屋上を目指す。鍵?てってれてっててー!ハンマー!

ドラえもんはいないし、タイムマシンも無いからこれしかない!

鍵を叩き壊して屋上に侵入したら、ビニールシートを引いて準備は万端!

母親の部屋からくすねたワインを片手に……ってグラスが無い……うーん、まぁいっか。

ワインボトルをラッパ飲みして、寝っ転がって星空を眺める。イヤホンをして、「ねぇ、綺麗だね」って言うと、「うん、すごく綺麗」って返事が来て、お酒のせいかな、段々と思考が纏まらなくなってきちゃった。でも、モーマンタイ(無問題)!

風を感じて柵にもたれかかって上を見ると、世界を邪魔するのは私の口から漏れる白い息だけで、満天の星空がずっと遠くまで広がっていた。

横目で遠いようで近くの枯れかけの花束が目に入る。

5秒くらい。星空を見て、近くなっていく花束が目に飛び込んできて、最後に浮かんだのは、最愛の君の顔。

……

……

……

「本日明朝に発見された女子生徒は、屋上から飛び降り自殺をしたものと見られ、警察は同じ校舎から先週飛び降りた女子生徒との因果関係を調査しています。学校側は後者屋上の立ち入りは禁じ、鍵もかかっていたとのことです。死亡した女子生徒のクラスメイトのインタビューでは、二人は恋人同士だったとコメントが寄せられており……」


「死ぬのって怖い?」

「二人なら怖くないよ。でも、もし私が死んじゃったら……」

「「我儘でいいから、ちゃんと追いかける/て」」

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「予感」なんて、そんな甘っちょろいものじゃない 百合の友 @yurinotomo

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