第315話 そして、すきま風はさらに吹き込む。

今や、2月。

泣いても笑っても、あと1か月少々で今の体制は終り。ジ・エンド。

学校がそうなのはまあ、いいでしょう。

いつまでも小学生というわけにもいかないし、

いくら小学校でも、同じ児童で6年間というわけにもいかない。


さてここ、自由の森。

家庭のようでいて、家庭ではない場所。

家庭ではないのに、家庭を、家を、標榜する場所。

所詮は他人を集めただけの場所なのだ。

もうこの時期になると、

4月の頃の新鮮さも、

夏の頃のいささかさわやかな熱狂も、

秋口の慣れ親しんだ関係も、

年末年始のドタバタしながらのあたたかみも、

すべて、消え去っています。


とりあえず、あと1カ月でオサラバ。

嫌な関係も、いい関係も。

さすがに職員室では、誰と誰を一緒にしろとかするなとか、

そういう議論は、しております。

相性のことは言い出せばキリがないのだけど、

まったく無視するわけにはいきませんからね。

まして、一応仕事ですから。

そのあたりは、後に学習塾に勤めた作家さんも実感されています。


この時期の職員会議って、大変だったろうな。

そろそろ、次を考えないといけないからさ。

退職希望者もおおむね判明しているし、

そうなればそれを補充する人手を確保しないといけない。

看護師や調理師のように派遣で何とか埋めるわけにもいかぬ。

とにかく、人を。なにはともあれ、新卒の若い人がベスト。

それで足りねば、他施設から幹部職員を確保してでも・・・。


そんなことをストーブリーグよろしく職員会議で論議している間も、

すきま風は、自由の森のあちこちを吹き抜けています。

はい。そういうものです。

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