第252話 続・すきま風
12月8日は、対米英戦争開始の日。
そのきっかけ云々、それまで及びそれ以降の過程は省略。
問題はもちろん、日米関係などではない。
この地、自由の森の園内事情です。
4月から何となくやってきて、秋ともなれば穏やかに。
そんな感じで暮らしてきた、子どもたちと職員。
だが、冬のすきま風は、そんな中にも容赦なく入ってきます。
このすきま風、単なる物理的な寒気を含んだ風じゃない。
人のつながりの中に入り込んでくる、すきま風です。
来年度で退職する意思を秘めた職員。
まだ妙齢にも至らぬ、21歳のうら若き短大卒の女性。
いよいよ入試前の大事な時期の少年。
15歳とはいえ、国立大学くらい行く力もある。
そこまで極端な組合せの間など、このすきま風の格好の標的。
そろそろ、吹きすさぶ頃。
無論、この関係の隙間だけに吹き込むわけではない。
あちこちの、職員同士、児童同士、
そして何より、職員と児童間の隙間にも、
このすきま風はやんわりと、ある場所にはそのうち強烈に、
吹きすさぶこととなるのです。
どうせ、あと3か月ちょっとの関係。
冬を越せば、風と共に去りぬ。
こんな関係もチャラになっておしまい。
今、その最後の紛争への道が、どこやかしこで、
堰を切るかのように開かれつつあるようです。
悲しい、寂しい。
どんな感想を抱こうが、ホザこうが、
それが、この時期の自由の森の「現実」だったのです。はい。
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