第251話 すきま風

 12月ともなれば、寒くもなる。

 寒くもなれば、すきま風も吹き込むもの。

 なんせ、築20年の鉄筋ビルの重いガラス窓。

 窓ガラスに埋め込まれた針金が、なんだかな。

 やっぱりここは、子どもたちの「監獄」なのだろうか?

 そんな思いを持たせて余りある、ガラス窓。

 重くて頑丈そうな図体(ずうたい)の窓があっても、

 すきま風はどこからともなく、やって来る。


 丘の上に移転してからは、窓はさすがに軽くなった。

 ただしそれは、物理的=材質的 な側面から見たもの。

 移転前以上に居場所を均質に作ったことが、

 後に作家となる元入所児童によって、

 格好の批判の標的とされることになった。


 自由の森のすきま風の来る先は、何も窓からだけじゃなかったのだ。

 その体制にこそ、すきま風を呼び込む「温床」があったのである。

 温床という割には、温かくない話だなぁ、ってか?

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