第137話 玄関先の送り火。そして、報復へ!

 気もそぞろ、自分の身に迫りくる、

 自由の森の現実世界ひしひしと。

 8月15日は、お盆の最終日。

 明日から仕事の人もいるね。

 御先祖様が、帰られる日。

 そう、あちらの世界へ。

 次は、お正月だっけ。

 彼岸の日は墓参り、

 って人もいたか。

 短期里親宅の軒先、

 小さな送り火を焚き、

 一宿一飯の少年くんも、

 御先祖様をお送りします。

 岡山県の措置で孤児にされ、

 身寄りを絶たれた、少年の夏。

 そろそろ、自由の森での現実が、

 気もそぞろ、自分の身に迫りくる。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


 目先の気休めだけは与えてくれた、自由の森。

 そう、その場限りの慰安とゆめまぼろしだけ。

 子育てと銘打つ生体実験のモルモットとして、

 つかの間の飲食物と、仲間ごっこ用の子らと。

 花嫁修業と称されしか、実験助手の保母らと、

 保母を指揮し、自らも実験に加わる男性職員。

 それでも一見、家庭のような、家族のような、

 オウムのサティアン? いや、731部隊か?


 自由の森は、丸太ともモルモットともつかぬ、

 いたいけな子どもらを、募集していたのです。

 児童相談所という官公庁のある機関を通して、

 出来損ないの家庭論と家制度を隠し持ってね。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


 親族との今生のつながりを断ち切った奴らを、

 かの元入所児童の作家は、容赦なく叩き殺す。

 詩作なる中学時代の恩師に教わった?手法で。

 これも、彼らしい手法なのだ、・・・ってか?


・・・ ・・・ ・・・・・・・


そして、武士の情け。

 岡山市は政令指定都市となり、独自の児童相談所を設置した。

 つまり、岡山県の管轄から外れたわけですよ。

 ともあれ、今はそんな場所でなくなっていることを祈る。

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