第55話 再び、プラスチックの食器たち

 自由の森にかつて入所していた元児童の50代男性。

 彼が幼少の頃、その地の食器のほとんどがプラスチック製。

 陶器の食器も、ないわけじゃなかったみたいだけど。

 来客用の茶器は、まさか、プラスチックじゃなかったろう。


 彼は後に近所の国立大学に現役で合格し、進学した。

 その大学の「学食」も、プラスチック製の食器が多かった。

 彼自身は、自由の森で免疫ができていたから、何ともなかった模様。

 彼の知る学生各位も、そのことには何とも思っていなかったらしい。

 まあ、たいしてうまくなく安さだけがウリだったそうでね。

 おかげで、大学周辺の食堂はどこも、大流行でした。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


 さて、大学のほうはともかく、自由の森では、これでは、ねぇ。

 家庭的な雰囲気云々言うけど、大学の学食じゃあるまいしねぇ。

 食器て皆こんなものだと、子どもらに感じられるのもいかがか。

 ならば、食器を極力プラスチックから陶器やガラスに変えよう。

 そんな空気が醸成され、数年がかりで、それは実現されました。

 その変化の大エポックのひとつが、丘の上への全面移転でした。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


 もちろん、食器が変わったから、森の中の空気も変わったなぁ、

 なんてことに、なったわけでもなかったっけな。


 まずは、形から入ろう。

 そこから、何かが始まるのだ!

ってか?

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