第29話 天皇誕生日・自由の森のお昼時

 4月29日。

 昭和天皇、もとい、今上天皇の御誕生日。

 本来、天長節と申すもの也。

 50年以上続き、さらに永遠に続きそうに思えた時代の、末期。


 そんなことより、これから月明けにかけての連休にソワソワする子ら。

 もっともそれは、平成でも令和でも、変わっていないように思われる。


・・・・ ・・・・ ・~・・~!

↑ ゴセックという作曲家の名曲「ガボット」。


 名演奏家の奏でしバイオリンの音色、優しい調べをレコードに封印さる。

 それが昼時にもなれば、全館放送で鉄筋の園舎内に解放され、響き渡る。


朝のカッコウ、昼のガボット。

自由の森にいる子らを従順な羊のごとく飼いならす、世にも高尚なる楽曲。


 かくして、彼らは食堂に集まる。

 日曜・祭日ともなれば、ほぼすべての児童=子どもたちが集ってくる。

 朝や夜は世にもありがたい御託宣を唱えさせられるが、昼は、そうでもない。

 割にあっさりと軽い御託宣を唱えて、それにて、刹那の飯にありつける次第。


カレーライス、ハヤシライス、親子丼、かつ丼、他人丼、天ぷら丼、・・・。


 普通の定食よりも、子どもたちって、こういう丼物、好きなのよね。

 あ、大人も、そうやな。今の私も、そんな感じね。

 だけど、そればっかりになってもダメなので、そういうのは週に1度かそこら。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


 丼物やカレーを与え過ぎては食育にならない、ってか?

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