第18話 自由の森から自由の街へ!

 日本国憲法がどうとか、そんな難しいことじゃない。


 自由の森は、子どもたちの「自由な地上の楽園」なのです。

 自由であるということは、みんな「平等」なのです。

 ほら、憲法にも言うじゃありませんか。


ホウノモトノビョウドウ


 自由の森は、憲法のその言葉だけでなく、精神も遵守します。

 

 みんな、平等。

 みんな、仲間。

 みんな、家族。

 

 そう、ここに住む子どもたちと職員たちの「家庭」。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


 だけど、それでいつも「へいわ」に済むわけじゃない。

 親のいる子もいれば、自分で何かを築き上げていく子もいる。

 ホントは、平等なんか、幻想ですらないのだけどね。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


 そりゃあ、いろいろ困ることは多々あるわよ。

 いいのよ、いいのよ。いざとなったら、逃げ道もあります。

 年端の行かない若い保母でも、何とかなります。

 短大を出て間もない、ハタチそこらのオネエチャンでもね。


「ここは、(養護)施設だから」


 こう言っておけば、あとは何とかなります。

 日本国憲法の下に制定された「ホーレー」が、私を守ってくれる。

 それに従って、エンチョーセンセーも、私をかばってくれるから。

 どうせこんな場所、数年もしたら「退職」して、去っていくまで。

 辞めてしまえばただの人。

 永久就職できればいいな。無理なら、よその職場に行けばいい。

 そういえば、ケンポーには「居住・移転の自由」もあったわね。


ショクギョーセンタクノジユウ


 これよ、これ! 

 この魔法、早いところ、使いたいものだわ。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


 自由の森より、自由の街のほうがもっと楽しいわよ、ってか?

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