第2話

 「なあ雄二ほんとに奢ってもらっていいのか?」

「ここで奢らなかったらなんの勝負だよ、男が廃るだろ。」

カラオケの点数勝負で負けた俺と超絶ハイスペック男和也はそのままマ○ドで話していた。勿論勝負に負けたので俺の奢りだ。

「やっぱ俺が食べた分ぐらい出すぞ?いくらだった。」

「スマイルと同じ価格だったから気にすんな。」

「いやいやそれは無理があるだろ?」

やはりこの男優しさを兼ね備えている。しかしここで押し負けてはいけない。モブキャラらしく主人公に磨きあげるのが俺の仕事だ。

「じゃあ今度学食奢ってくれよ、それで頼む。」

「えぇ本当か?いくら勝負だからといってやっぱり奢ってもらうのは気が引けるな…」

「毎回そうだろ、今回もそうしてくれよ。」

こんな話をしながら俺らはマ○ドから出て帰路につく。

「じゃあまた明日な、バイバイ。」

「おう、明日は宿題忘れんなよ。」

「和也は俺のお母さんかよ。」

気遣いの塊、流石の主人公としての素質、くぅぅ痺れる。途中で解散した俺は毎回同じことを考えながら家に帰る。ここで和也ならラブコメみたいな出会いなどがあるのだろう。そんな妄想をする俺にふとある声が聞こえた。ここら辺は高級住宅街で日も暮れかけているので静かだから余計耳に入った。

「…あれれ、ウチの鍵が無い!どこにいった??」

どうやら慌てん坊が鍵を無くしたらしい。俺には関係がないがな。

「誰か一緒に探してくれないかなぁ、優しい人いないかなぁ……」

なんかやけに棘がある言い方だな、和也なら助けてあげるんだろうな。

「ねぇそこの君、ウチの話聞こえてるでしょ?」

ん?誰だ?もしかして俺に話しかけてるのか?こんなモブみたいなやつに?一様俺は声のかけられた方を見るとそこには同じ制服を着た女性がこっちをガン見していた。え、俺なんかしましたか?

「え、俺なんかしましたか?」

やっべ、心の声が、女性と話すなんて姉か母親ぐらいだぞ、キョドるに決まってんだろ。

「そんなこと言いながら、君気づいてだでしょ、こんなに可愛い人に話しかけられることないもんねー?」

なんやこいつ馴れ馴れしい。確かに可愛いくて男子ウケはしそうだが、性格終わってるぞ…

「で、何があったんですか?」

「本当に聞こえてなかったんだ…実はさ鍵無くしちゃって本当に急いでるから一緒にさがしてくれないかなー?なんて。」

「俺も急いでるんです。」

「私とどっちが大事なの?」

やっぱりこいつやばすぎる。初対面でそんなに重いこと言うんか?距離感が無さすぎる。

「まぁ家でアニメ見る方が大事っすね。」

「かぁぁそこまで言ってもダメかーごめんね、やっぱ大丈夫、ウチ自分で探すからさ」

やけに物分かりがいいな、実は性格終わってるんじゃなくて人との距離感近いだけなのでは?しかも可愛い。こいつ和也にピッタリなんじゃないか?ならここで恩を売っておけば…いいこと考えたぞ。

「やっぱり手伝いますよ、日も暮れてきましたしはやく探した方がいいですもんね。」

「え、ほんと?ありがとー!じゃあ君はここからあっちの方まで探してくれない?」

「わかりました。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ほんとにありがとーね、なんてお礼すればいいかわからないぐらいありがとー!!!」

「いえいえこれぐらい大丈夫ですよ。」

大丈夫なわけがあるだろうか?いやない。ここからあっち方までと言われたはいいもののその距離は大体500mぐらいあった。しかもここら辺は高級住宅街、日も暮れて帰宅してくる人も多い中探すのは精神的にも苦痛があった。見つかってよかったが。

「それより時間は大丈夫なんですか?」

「だいじょーぶだよ!だって家ここの一番上だもん。」

イエココ?ココって言われた場所にはものすごいでかいマンションがあった。このマンションはオートロックで13階建。一部屋一部屋がデカく一番上にもなると普通の一軒家とも変わらない値段が張るようなマンションである。それの一番上??もしかして相当なボンボンなのでは?

「君、名前なんていうの?」

「え、いや、まぁ、なんというか、鈴木雄二って言います。」

「そうなんだーウチは白金華菜。あれ?君とウチもしかして高校同じじゃない?やば、運命じゃん!」

運命とは主人公キャラに来るものであって俺とは見当違いだ。その言葉を軽々しく使うな。

「ねね、お礼の意味を込めてなんだけど時間大丈夫ならウチんち上がってかない?」

上がってかない???返答は決まっているNOだ。相手方の親がいたら気まずいし、こんな敷居が高い場所にいること事態が場違い。誘うなら和也にしてくれ。

「いや、親御さんに迷惑だろうし、それじゃさようなら。」

『ガシッ』

なんでこいつは俺の手を掴んでいるんだ?

「親家にいないからさ、いいよね行こう!」

こいつは人の話を聞くことができないらしい。そう思いながら手を掴まれたまま俺は13階まで連れてかれた。


――――――――――――――――――――――――

不定期だから仕方ない。そういう時もあるよね、

来週は多分投稿できないかなぁ……


ちなみに白金華菜は黒髪ショートの綺麗な目をした元気いっぱいな女の子です。主人公キャラなみになんでもできます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

モブはモブなりの生き方をしたかったのに親友の主人公キャラのヒロインたちに迫られます。 海洋 @kaiyou_26

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ