Chase the Beetle

「どうしてチョリソーの皿を取らないんだ? 今日の一番のおすすめだぜ」

 調理係のトビーがいつもながらのスマイルで、カウンターの向こう側から問いかけてきた。

「最近、胃が持たれ気味でね。ここの料理が美味し過ぎるせいだよ」

「嬉しい事、言ってくれるね」

 それは決して、お世辞などではなかった。

 施設に搬入される食材の半分以上は他の食品工場で調理された、できあいの加工品だ。それらが缶詰や袋から取り出された後に、彼らの手にかかると魔法の料理に変わるのだった。

 いくつかの皿を取ってトレーにのせ、最後にもう一人の調理係のアフマドからチャパティーを受け取った。

「旦那はヤンキーのチョリソーなんかより、パキスタンのチャパティーがお好みだとさ」

「なんだと、アメリカ料理をバカにしやがんのか?」

「確かチョリソーはイタリア料理じゃなかったかな」

「え、そうなのかい? やっぱりインテリさまは物知りだねぇ」

 2人は本気で言い争っている訳じゃない。いつもの掛け合いだ。

 2人には共通点がある。それは一昨年、共に経営していたレストランを失った事だ。

「それでも増しな方さ。借金は背負わずに済んだんだからな」

 地域の友人・知人は住宅金融破綻で行き場を失った者も多く、彼らを通い客として抱えていた2人の店も、経営を維持できなくなった。

 この似た者同士の境遇が、2人を初めて会った時から意気投合させていた。

 トラウデンには2人が作る料理と並んで、軽口を叩くやり取りがこのランチの時間の楽しみにもなっていた。

「ま、ここの給料は悪くないし、金を貯めて一から出直すさ」

「その時は、店に食べに来てくれよな」

 それぞれ、ダイナーとパキスタン料理店の再建に向けて、陽気に厨房の仕事をこなしていた。

 

 テーブルにつき皿の料理に手を伸ばしていると、隣に職場の先輩であるエドが腰を下ろした。

「あんまり、コックと話さない方がいいぞ」

「ええ、差し障りのない会話だけにしています。ただの世間話ですよ」

「ならいいんだが。どこでどう足元をすくわれるか判らないからな。念のため」

 このエドこそが、ここの就職を世話してくれた恩人だった。

 大学を卒業するも技術職のあてはなく、2年間、仕方なく運送会社で宅配の仕事をしていた。

 それはトビーとアフマド同様、住宅ローン破綻の影響も少なからずあった。

 そんな境遇に腐っていた自分に、「情報処理系の仕事を探しているヤツがいる」と、知り合いがエドを引き合わせてくれたのだった。

 

 トビーとアフマドの2人も、入退所の際はボディチェックと持ち物チェックを受けている。2人への物品の受け渡しも、お互いの住所などの情報を伝える事も禁じられている。

「旦那にクリスマスカードが渡せないのが残念だよ」

 以前にそんな言葉を交わした事もあった。

 彼らもこの施設が軍の所属であり、情報を扱う部門であるとは先刻承知だ。

 ただ、2人がここでの仕事の内容を知る事は決してない。

 世界中のネットで交わされる情報の中身を、盗み見しているのだとは。

 

 自分たち職員にしても、入退所時のチェックはもちろん、昼食を外に食べに行くことは許されず、この施設内部の食堂を利用するのが常だった。入所の際にサインさせられた機密保持の宣誓書の数を思うと、今でも胸を圧迫されているような気になる。

 昼食を終え、自分のブースに戻ると、端末の画面から、調査しようとキープしておいた案件が消えているのに気付いた。同時に、グループウェアでのメッセージタブに、新着が1件ある事にも気付いた。それも至急マーク付きだ。

 開いてみると、それは呼び出しの内容だった。

 緊張の面持ちでチーフの所へ向かうと、彼は「ああ、その件は聞いてる。でも私の所ではない。所長のオフィスへ行ってくれ」と、チーフは所長のオフィスの所在地を示した。

 更なる緊張で、エンリケ所長のオフィスのドアをノックした。

「入りたまえ」という声に促されて、中へ入ると、エンリケ所長が端末の画面から 顔を上げ、視線を投げかけてきた。

「かけたまえ、トラウデン君」

 所長の姿は、遠目に顔を見た事がある程度で、こうして面と向かって会うのは初めてだった。末端の職員である自分とは、接点のない人物だ。一体、どんな要件で呼び出されたのだろう。

「ファーストネームはジョッシュだね。ジョッシュと呼んでも構わないかな?」

 エンリケ所長は優しい声音の人物だった。

 おそらく手元にある資料に自分の名前と共に経歴などが記されているのだろう。

 ファーストネームで呼ぶのは、距離を詰めるための、こういった場面での常套手段なのかもしれない。

 そして、自分がそういった事を考えているであろう事も、所長はお見通しのはずだ。

「ジョッシュ、ここに来てどの位になるかな?」

「3ヵ月です」

 自分が、この機関で働き始めてからの日々を思い出してみた。

 望みとは違う宅配業を2年経た後に、ようやくありつけた情報技術系の仕事。

 最初にエドから求人を勧誘された時は、まさか諜報の仕事だとは思わなかった。

 おそらく意図的に隠していたのだろう。

「どうだね、ここでの仕事は?」

「ええ、申し分ありません。やりがいも感じていますし・・」

〝やりがいだって? 僕は何を口走ってるんだ?〟

「君の仕事ぶりは素晴らしいね。君のような人間が大学を出てから2年も職に就けなかったなんて、この国はどうかしてるな」

 そう褒められても、嬉しさは感じなかったし、どう返事をしていいかも判らなかった。

 返答に詰まっているトラウデンに、所長が言葉を継いだ。

「昨日、君がピックアップした案件、あれはお手柄だったよ。他の所員なら見落としていたかもしれない」

 一瞬、どの件を指しているのか判らなかったが、すぐにさっき端末のリストから知らぬ間に削除されていた一項目だと気が付いた。

 そんなトラウデンの表情を読んで、所長が言った。

「そう、あれだ。君のリストから外したのは、今後、他の者が引き継ぐからだ。通達する前に、ファイルを引き抜いてすまなかったね」

「いえ、私の方は別に構いません」

 トラウデンは神妙に返事をしたが、内心、引っかかるものがなくはなかった。

 しかしこの3ヵ月で、この機関のやり方は理解していた。

 上からの命令や指示に、イエス以外の返答は許されないのだと。

 

 実際、トラウデンの仕事ぶりは優秀だった。

 ネット社会の現在、テロや破壊工作といったA級事案だけでなく、ヘイトや政府批判などの要チェック案件は膨大な数にのぼる。

 火の気が火事に変わる前に未然にそれを消化する。そんな全ての観察事案をこの施設だけで網羅しきれてはいなかった。どうしてもグレードの低い対象は、チェックから漏れていく。

 トラウデンが目を留めたメールは、過去にマークされている人物からの送信ではあったものの、それでも一読しただけでは、懸案対象としてピックアップされるような内容ではなかった。

 それでも、この3カ月余りの勤務しか経ていない新人は、そのメールの中に潜んだものを、一見些末にみえるデータの中に、送信者がカモフラージュした何かを嗅ぎ取ったのだった。

〝確かに彼は、この仕事に就くべくして就いたのかもしれないな〟

 エンリケ所長は、内心でそう呟いていた。

「それで・・」

 所長はおもむろに口を開いた。

「情報の中身はどれ位見たのかね?」

 その質問に、所長のおだやかな目つきとは裏腹な、鋭いナイフのような何かをトラウデンは感じた。

 ここで嘘をつくのは得策ではない。

 瞬時にそう判断したトラウデンは、真実を吐露するしかなかった。

「ええ、見ました。でもそんなに隅々まで見た訳ではありません。まずかったでしょうか?」

 自分の声が上ずってないかを心配しながら、所長の反応を待った。

「いや、気にする必要はない。内容を見なくてはどう処理していいのか判らないのだからね」

 エンリケ所長が、次に言うべき言葉を探しているその間隙を縫って、新人の方から先に質問が発せられた。

「その・・、内容は反社会的なものとは思えません。僕にしても取り合えずの案件としてキープしておいただけなのですが・・」

〝全く! 少し褒めてやったと思ったら、すぐこれだ、最近の若造は!〟

 エンリケには、自分がマニュアル通り行動するべきだと判っていた。

 スパイ物のドラマで、よく使われるフレーズ。この付けあがった、やっかいな疑問を投げかける新人に、そのフレーズを今告げるのだ。

「君が、それに関して質問する事は許されない」と。

 ドラマなんかではない、我々は本物の諜報機関なのだ。

 でも、なぜだかそれが言えなかった。

 次の瞬間には、自分でも思わぬ言葉が勝手に口をついて出ていた。

「そう、内容はソーラー発電の効率化についてだ」

 そのメールに添付されたファイルには、発電素子に用いられるアソードとカソードの材質や触媒、その配合率や焼き付けの工法などが記されていた。

 それが実用化されたなら、発電量が現在の5~6倍に増幅できる、というものだった。

 トラウデンには、自分が危うい質問をしているのだということが判っていた。

 同時に、所長が返答に詰まる理由も、了解していた。

 この組織の黒い噂を聞いたのは、入所して1週間も経たない頃だった。

 軍部や一部の政府機関、一部の政治家にとって、不利益となる情報が監視の対象となるのだと。

 その情報の発信元に、社会的な圧力をかけているのだと。

 太陽光の発電量が5~6倍にもなったら、化石燃料発電の価値が下がってしまう、場合によっては完全に不要になってしまうかもしれない。

 そうなるのを避け、既得権益を死守したい一派が存在する、という事なのだろう。

 そのターゲットの口を塞ぐ為に、不正経理やセックススキャンダル、その子供や親族の麻薬使用、等、弱みとなるネタを掴んで準備を固め、時にそれをほのめかし、時に脅迫を断行する。

 または、意図的にそれらをでっち上げ、社会的地位から追い落とす。

 以前にも他のクルーが、技術的懸案をピックアップしたケースがあり、なぜその必要があるのかと不審に思ったトラウデンは、この施設への入所を斡旋してくれた恩人、エドに尋ねた事がある。

「いくら一部の人間には都合の悪いからといって、そんな画期的な技術が他の国で先に開発・発表されてしまったらどうするんです? それこそこの国にとっては大きな損失だと思うのですが?」

「おいおい、何のためにここが世界中のネットデータを漁れるようになってると思ってるんだ? この国の諜報機関はどの国のどの組織にもアクセスできる。大っぴらにやる必要はないんだ。恫喝も妨害工作も匿名でできるんだからな」

 幸いにも、と言うべきかトラウデンたちリサーチャーがその任を負うことはない。トラウデンたちも知らぬ部署の、汚れ仕事を厭わない者たちがそれを行うのだろう。

「ネットの世界では、国境なんて、あってないようなものなのさ」

 冷笑的に告げたエドの口調が、印象に残っていた。

 

 トラウデンはエンリケ所長の顔を見据えた。

「その発電効率化のデータはでたらめなんだよ。ターゲットはこのエセ技術を売り込んで詐欺を働こうとしている。発信者には起訴履歴もある。我々はそれを未然に防ぐ必要があるのだよ」

 所長は臆することなく、トラウデンの瞳を見返してきた。

 エンリケ所長も、忸怩たる思いを抱えていた。

 この組織、この施設が創設されてから、まだ3年に満ちていない。

 当初は対テロリストの為の情報収集機関として起ち上げられたはずだった。

 世界の平和を守る為の、悪しきテロ活動から市民の命を守る為の、高い理念を持った組織だ。

 それが今では、一部の人間の為の、利益誘導装置に成り下がってしまっている。

 軍人としての理念は打ち砕かれ、自分の軍人年金にすがりつく為に、意に沿ぐわぬ仕事に手を染めている。

 この新人の視線は、その矛盾を問うているのだろう。先ほどの「対象者が詐欺を働こうとしている」という言葉にも、決して誤魔化されはしないだろう。

〝そうだ、本当にこの国はどうかしている・・〟

 いや、どうかしているのは自分だ。グループウェア上に「この案件は引き取る」とメッセージするだけで、トラウデンをこの部屋に呼ぶ必要はなかったはずだ。

 それでもエンリケはようやく本来の、自分が言うべき言葉を告げた。

「言った通り、この案件については他の者が引き継ぐ。君は全ての内容は忘れるように。トラウデン君」

 トラウデンが「はい」と答える以外に、何ができただろう。

 結局の所、エンリケ所長が会話の中でジョッシュとファーストネームを呼んだのは最初だけだった。

 その所長は申し訳程度に、新たなコメントを付け足した。

「私の裁量でインセンティブ奨励金を付与しておいた。来月の給料に反映されるだろう。僅かだが学資ローン返済の足しにしてくれ」

 予期せぬ言葉に戸惑ったトラウデンだったが、会話の打ち切りが促されたのだと感じて、椅子から立ち上がった。

 5年前に施行された『落ちこぼれゼロ法』以降、個人の学業データは軍に筒抜けだ。僕の学資ローンの残りの返済額も、きっと把握しているのだろう。

「速やかに業務に戻ってくれたまえ。再度言うが、ここでの会話も案件に関する情報も全て忘れるように」

「はい、心得ています」

 トラウデンは所長の顔を見ることもなく、そう一言だけ返すと、オフィスのドアをくぐった。

 今後、自分よりもっと上の立場の職員が、あの案件の動向をマークする事になるのだろう。

 自分が情報をピックアップした事によって、世の中の為になるかもしれない技術が一つ封殺されてしまったのだろうか。

 それを考えると、自責の念に囚われそうにもなるが、モニターの中の現実味の希薄なやり取りは、自分自身の行動も、自分自身の存在も薄めていくように思われた。

〝所長の言うような詐欺の為のものではないにしても、あの理論は実現不可能な机上の空論である可能性だってあるのだ。うたっているような発電量にはとても届かないのだろう〟

 そう自分に言い聞かせ、納得させた。

 異議を唱えてどうなろう、ここでの職を失うだけだ。

 送信元、つまり技術理論の提唱者は、一昨年前、公職から追放されている。

 その事は職場の端末ではなく、昨晩帰宅してから、自宅のPCで調べた。自分も同じ憂き目にあう訳にはいかない。

 追放には、やはり何らかの工作があったのだろうか?

 そしてもう一方のメールを受け取った側の人物は、ただのイルカの研究者だ。

 自分の手を離れ、あの案件はこれから先、どう転がっていくのだろう?

 トラウデンはそんな事を漠然と考えながら、自分のブースへと戻って行った。

 

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 昼休み前の一時間は、卒業イベントで歌う合唱と朗読劇の練習に費やされた。

 合唱チームの方に参加したマックスは、隣で歌うダニエルの練習に熱心な様や、生き生きとした表情を目にして、意外な姿を知ったように思った。

 丁度、あと2週間後の金曜日が卒業式だった。

 明日が5月最後の日で、夏本番を前に晴天が続き、水不足を懸念する報道が聞こえ始めていた。

 練習の後、朗読劇チームのマルロとデービッドと落ち合ってカフェテリアでランチをとった。

「ランチの後、どうする?」

 週明けに、体育の授業でバスケットボールのテストがあるので、「レイアップシュートの練習をしようぜ」というマルロの提案に同意して、4人で体育館に向かった。

 体育館へと続く渡り廊下のところで、ふとマックスの目の端に何かが映った。

「あ! カブトムシだ!」

 咄嗟にそんな言葉が口を突いて出ると同時に、そちらに向かって走り出していた。

「ちょっと捕まえてくる!」

 足の動きを止めることなく、首だけで振り返って3人にそう叫んだ。

「なんだよ、小学生じゃあるまいし」

「僕たち、まだ小学生だよ」

 デービッドの呟きに、ダニエルがそうツッコんだ。

「わかってるって! 低学年みたいなって意味だ! ってかあと2週間で卒業だろ?!」

 いつものように、険しい語調でデービッドがダニエルに噛みついた、

 でもその声音が、以前より少しだけ優しくなっているのを、隣で聞いていたマルロは気づいていた。

 

〝昆虫は好きだけど、どうしてマルロたちを放ったらかして、僕は虫を追いかけているんだろう。早く戻って一緒に体育館に行かなきゃ・・〟

 マルロたちを残し、カブトムシ追いかけながらも、マックスは不思議な気持ちだった。

〝それに変だなぁ、最近もこうして虫を追いかけたような気がするんだけど・・〟

 それはきっと、もっと小さい頃の出来事が思い出されたのだと、自分をそう納得させて、カブトムシの後を追い続けた。

 最初はカブトムシと思ったそれは、距離が縮まった時に、カミキリムシの姿である事がわかった。

 カミキリムシは校舎の前を漂い、中庭を抜けて、校舎の裏手へと飛んで行った。

 それが建物を曲がったのを追って、マックスも角を上がった。

 でも、曲がった先にカミキリムシの姿はなかった。

〝どこか校舎の壁にくっついて、それを見逃して通り過ぎちゃったのかな?〟

 翻ってみんなの所へ戻るべきだと、そう思いながらも、なぜだかカミキリムシを探し続けた。

 校舎裏手を巡ってみたけれど、どこにもその姿は見つけれなかった。

 完全に見失ったので、さすがに切り上げようと考えたけれど、最後にもう一回だけ建物の角を曲がって、それでも見つからなかったら切り上げよう、そう心に決めた。

 果たして、その曲がった先にカミキリムシはいなかった。

 その代わりに、膝を抱えてうずくまっている男の子がいた。

 近づいてみると、背中が気刻みに震えていて、その子が嗚咽しているのが分かった。

「キミ、大丈夫?」

 そう声をかけると、その子が顔を上げた。

 見憶えのある顔だった。

 あの時、廊下でネッドから助けてあげた子だ。

 その子はマックスの質問には答えず、また膝に顔をうずめて泣き続けた。

〝泣かれているのを見られるのって嫌だもんなぁ・・〟

 その場を離れようか迷ったけれど、放っておけない気もして、続けて声をかけた。

「もしかして、またネッドに何かされたの?」

 その子は、膝に埋めたままの顔を横に振った。

 嗚咽しながらも、ポツリポツリと話してくれたところによると、転んでランチの入った紙袋をぶちまけてしまって、お昼が食べられなかったそうだった。

 鳴いている理由が、ネッドや誰かに意地悪されたからではないと知って、その事にマックスはホッとした。

「何か買ってきてあげるよ」

 ランチの後、胸ポケットにしまったままのプリペイドがあるのを指先で触れて確認すると、急いでカフェテリアに向かった。

 この時間なら、まだ何か残っているはずだ。

 幸いまだ売り切れていないサンドイッチを手に入れると、それを紙ナプキンで包んで、走って引き返した。

 その子は母親から添加物の入った学校のランチは食べないようにと言い含められていたそうだったけれど、「大丈夫だよ、食べてみて」と説得した。

 男の子はサンドイッチをおずおずと食べ始めた。

 

 男の子は名前をサトルと名乗った。

 ポケモンの主人公アッシュの日本語名は、サトシであるとマックスは知っていた。

「サトシじゃないの?」とたずねるマックスに、そのポケットモンスターの主人公の名前とは一文字違いなのだと教えてくれた。サトルもサトシも日本ではよくある名前なのだと。

 サトルは小柄なので、最初は下級生かと思ったけれど、同じ5年生だった。

〝しばらく目を離すと消えてなくなっちゃいそうな子だな〟と、マックスは思った。

 訥弁なサトルだったけれど、それでも話を聞く内に身の上が判ってきた。

 足の装具は幼い時分の病気によるものだと。

 両親が離婚調停中で、母親の知り合いが持つ棟に一時的に借り住まいしているのだと。

 この小学校へも登校したり、しなかったりで、どの道、手続きが完了し次第、日本に帰国する事が決まっているのだそうだった。

 サトルが泣いていたのは、単にランチが台無しになったからだけではないのだと、マックスは知った。

 そして卒業前という中途半端な時期に転校してきたその理由も。

 サトルは言葉少なに、できれば離婚して欲しくないと言い、イジメがある日本にも戻りたくないのだと語った。

「アメリカにだってイジメはあるよ。あの時、ネッドに通せんぼされてたじゃないか」

 サトルは、日本のイジメはアメリカのとは違うのだと語った。

 どう違うのかをサトルはうまく説明できなかったし、それを聞いたマックスの方もピンと来なかった。

〝日本のアニメなんかでは、イジメなんかなくて、みんな仲良く、楽しそうだけどなぁ〟と、マックスはそう思った。

 ただ、目の前の涙目の男の子には、足の装具だけじゃない、もっと大きな枷が付いているのだということは判った。

 

 校舎の向こう側からは、昼休みの生徒たちのはしゃぐ声が聞こえてくる。

 日陰になった校舎裏は、何かに守られているように2人だけの時が過ぎていた。

「ねえ、こんなの知ってる?」

 校舎と校舎を繋ぐ石畳の舗装路の周囲には芝生が敷かれており、その先には草地が広がっていた。その草地の合間には石が転がっていた。

「その中に、ひとつだけ自分を呼んでいる石があるんだ」

 訝し気なサトルの視線に気付いて、マックスは慌てて付け加えた。

「だってリビングストーンっていう苗字があるだろう? それは昔の人が石は生きてるって知ってたからついた苗字なんだって」

 サトルは尚も納得しかねているようだったけれど、マックスが石を探し始めると、サトルも腰を上げてマックスの隣にやってきた。

 足の装具を付けているサトルは、歩く分には問題なかったけれど、石を探る毎にしゃがみ込むのは、少し難しいようだった。

 何より、石をどう選んでいいのかが判らずに、ただ立ち尽くしていた。

 そんなサトルの為に、いくつかの石を見繕い、両の掌の上に載せて、サトルの前に差し出した。

「この中から選んでもいいよ」

 悩んだまま決めきれぬサトルに、マックスはひとつの提案をした。

「じゃあ、目をつむって10数えてみて。目を開いた後でボーッと光って見える石があったら、それが正解だよ」

 マックス自身も、そのやり方で、すでに一つの石をポケットに収めていた。

 日陰の校舎裏ではなく、日の当たる反対側だったら、この方法は使えなかった。

 言われた通りにしたサトルは、自信なさげながらも、ひとつの石をさし示し、手に取った。

「それとボクの選んだ石を交換するんだ。これで友達になったよ」

 何だか、普通に「友達になろう」とは恥ずかしくて言えなくて、だからこんな回りくどいやり方しかできなかった。

 もしかしたら、サトルにとって光って見えた石なんてなかったのかもしれない。

 でも、それをマックスに言うのは悪いので、無理にひとつ選んでくれただけなのかも。

 きっとマルロたちなら、石が光って見えるのはおろか、石の交換なんてバカバカしいと言うだろう。

 それでも半信半疑の顔のサトルが、それを捨てずにポケットの中に収めたのを見届けて、マックスは安堵した。

 サトルは別れ際に、小さく「ありがとう」と言ってくれた。

 それが、サンドイッチをご馳走した事に対してなのか、この学校での最初の友達になってくれた事に対してなのか、それは聞かずにおいた。

 

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「お前、最近、何やってんだ?」

 サトルと話して以降ずっと、休み時間ごとにマックスはバーンズ先生のクラスへ行き、そこにサトルの姿を見つけられなくて、そのまま立ち去るという事を繰り返していた。マルロがそんな行動を不審に思うのも無理はなかった。

「足腰の強化で、階段の上り下りをしているんだ」

 バーンズ先生のクラスはひとつ下の階なので、確かに階段の上り下りは必要だ。

「中学で運動系のクラブにでも入るつもりなのか?」

「まあ、そんな感じ・・」

 サトルとの事は、なぜだかマルロたちに告げる気にはなれなかった。

 この前、話をした時、サトルはもう学校にはあまり来ない、卒業イベントにも参加しないのだと言っていた。

 そんなサトルの言葉通り、出会うことは出来なかった。

 

 数日後にようやく教室に居るサトルの姿を捕らえ、目くばせと手招きで校舎裏へ呼び出す事に成功した。

「お願い岩っていうのがあるんだ。そこでお祈りをすると何でも願いが叶うんだって」

 クラスメートが話題にしているのを聞いていたらしく、お願い岩のことはサトルも知っていた。

 その後に「行ってみる?」という言葉をつなげるつもりで、でも何故だかそれが憚られた。

 離婚して欲しくない、日本に帰りたくないというサトルを何とかして助けてあげたかった。でも、子供の自分に手段が何もないのはよく判っていた。

 マックスなりに、考えてたどり着いた唯一の方法がお願い岩だった。

〝それにこの子は足の障害せいで、自分たちがいつもやっているような遊びや探検はしたコトがないと思う〟

 だから、サトルを自分たちの世界へ、一度でも連れ出してあげたかった。

 そしてこんな時、子供が出来るただ一つの手段『お祈りする事』はきちんと効き目があるのだった。

 来年には、中学校に上って12歳になる。

 今が、子供時代の魔法がまだぎりぎり通じる、その境目の年だった。

 でも、その誘いの言葉がためらわれた。

 最近は自分でも、〝そんなの子供っぽいことなんじゃないだろうか〟と思うようになっていたので。

 誰か友達が「サンタクロースなんていない」と言われても、「もしかしたら、いるかもしれないだろ」と言い返せる。

 でも、サトルにお願い岩なんて迷信だと言われたら、サトルの儚さに引きづられるように、お願い岩も、サンタクロースも、これまで信じていた全てが音を立てて崩れてしまうように思えた。

 だから、話を切り出すのが怖かった。

 サトルはほとんどしゃべらない子だった。

 本当はサトルの方も、お願い岩の効き目を信じていて、マックスが誘ってくれるのを心の中で待っていた。

 それを何度か言葉にしようとして、出来ないでいた。

 本当に、不器用さん同士のやり取りは、とてももどかしいのですね。

 

 サトルには、今度またいつ会えるか判らない。

 もしかしたら、今日がサトルが学校に来る最後の日なのかも。

 だから、誘うなら今しかなかった。

 マックスは、しばらくは空々しくゲームやアニメの話をサトルに聞かせていたけれど、ふと自分の言葉が途切れた時に、唐突に切り出した。

「行ってみる? お願い岩?」

 サトルは無言で、でも、はっきりとうなずいた。

 

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 夜の帳がおりきって、窓の向こうからはフクロウの鳴き声が聞こえてくる。

 最近になって、家庭菜園の作物を荒らしていたネズミの被害がなくなった。

 それがフクロウの活躍によるものかもしれないと、遅まきながら気が付いた。

 

 Drリリスは、タイプの手を止め、メールの下書きを保存した。

 その作業していたノートPCの画像フォルダを開き、ひとつの写真を表示させた。先日のクジラ生態調査での、クルー全員の集合写真だ。

 自分の隣には11歳の少年が佇んでいる。

 もう2階層下のフォルダの、もうひとつの画像を開いた。それは古い写真をスキャンして取り込んだものだ。

 そこにも同じ年頃の少年の、無邪気な笑顔があった。

「あの図鑑は、今は別の子が使っているよ」

 そう、そっと呟くと、少年の隣の妻の顔を見つめた。

 彼女は入院した時、「キャリアと収入を途切れさせないで、私は大丈夫だから」と告げ、自分もそうすべきだと思った。

 でもそれはやはり詭弁だ。

 今なら判る。

 あの時の私は、妻の病と死に向かう姿を直視したくなかったのだ。

 妻と子の人生を支える、その精神的な負担に耐えられなかった。

 息子は恨んでいるはずだ。

 ベルギーに行ったまま、最低限の連絡しか寄こさないのが、その証左だろう。

 いつも遊びに来てくれる少年は、もうすぐ小学校を卒業するのだそうだ。

 何年かぶりに、卒業シーズンというものがある事を意識した。

 その子が訪ねて来てくれる度に、昔の家庭では得られなかった時間を取り戻せたように思え、そこに喜びと後ろめたさを感じる。

 数日程前に、マックスと夕映えの空の下を散歩した。

 その時も、確かフクロウが鳴いていた。

 もしかしたらその同じ個体が、ここまで活動範囲を広げたのかもしれない。

 

〝マックス、いつか君に伝えたいよ〟

 人生は何かを感じ、体験を積み重ねるだけなのだと。

 人が一生で経験する事は、全てはただの現象に過ぎないのだと。

 そこには良いも悪いもない。

 善悪も優劣もなければ、快・不快もない。

 どのような人生であれ、〈ただ体験する〉それだけなのだと。


 そして、魂は何度もこの物質世界に生まれてきては、体験を積み重ねてゆく。

 私の前世は、炭鉱で働かされる少年労働者だったのかもしれない。

 過酷な環境ゆえに、15歳まで生きられなかったのかもしれない。

 ある時は、領主で多くの財産を持ち、愛する者に囲まれて幸せの内に一生を終えたのかもしれない。

 それでも、この両者に幸・不幸の差はない。

 肉体の物理的感覚が、炭鉱の不衛生な環境を悪いものと捉え、領主の持つ領地の自然に恵まれた清浄な空気を良いものと捉える。

 しかし、肉体を離れた魂にとっては、両者に差はない。

 ただ『その環境を味わった』、その体験が魂に刻まれるだけだ。

 

 片方の人生が5点で、もう片方が100点なのではない。

 ただ15歳で健康を害して亡くなる人生も、80歳の天寿を全うする人生も、どちらも体験という意味ではフルスコアだ。

 ある人生では、産まれて3日で亡くなった赤子かもしれない。

 ある人生では、暴虐の王で、多くの人間をいたずらに処刑したのかもしれない。

 ある人生では、山奥にある人の行き来が絶えた村で、外の世界を見る事なく一生を終えたのかもしれない。

 ある人生では、絶望し、自ら命を絶ったのかもしれない。

 いずれも差はない、ただ、その経験をしたというそれだけだ。

 

 マックス、きっと君は言うだろう。

 そんな転生や生まれ変わりなんて証拠はないよ、とね。

 でも実は証明は簡単なんだ。

 君のいとこのアイリスは、今3歳か4歳だったね。

 聞いてみるといい、母親のお腹の中にいた時の事をおぼえてるかと。

 きっとその時の様子や、何を感じていたのかを話してくれるだろう。

 そして運が良ければ、そのお腹の中に宿る以前はどこにいたかを、体を持たぬ存在であった時の記憶を語ってくれるかもしれない。

 更に運が良ければ、その以前の、別の人間として別の人生を送っていた話を聞かせてくれるかもしれない。

 アイリスは、かつてアラブの国の王族だったろうか、70年代の有名なロックシンガーだったろうか。

 それともアフリカから別の大陸へ強制連行された奴隷だったろうか。

 中世のヨーロッパで、ペストで5歳で命を終えたのだろうか。

 どんな人生でも優劣はない、ただ体験の積み重ねがあるだけだ。

 

 善行をゆえに、次の人生は大金持ちからスタートさせてもらえる訳ではない。

 何人をも手にかけた殺人鬼だから、その罰として障害のある体でスタートしなくてはならない訳でもない。

 大金持ちが良くて、障害のある体が悪い、それは人間の物理的感覚がそう判断するだけだ。

 生まれ変わりには、報酬・褒美もなければ、処罰もない。

 ただ、新たな体で、新たな体験が待っているだけだ。


 どの体験も同列であるならば、逆説的にこの物質世界で快いと思う人生を、幸せだと感じる人生を望んでも構わない。

 世界を少しでも、安らかな場に出来るならば、次に生まれ変わった時に、安らかな社会の中で、苦難の少ない穏やかな人生をスタートさせられる。

 差別や貧困や紛争を拡大させるならば、次の人生で自分がそれを身に受ける事になる。

 兵器をばら撒けば、ばら撒くほど、次の人生では自分自身がその犠牲者となる。

 富を独占すればする程、次の人生では貧しい多数派としての苦労が待っている。

 運よく、再び富める側になれるかもしれないが、数的にその少数派になれる確率は低い。

 それでも富める側も貧しい側も、奪う側も奪われる側も、どちらの人生が良いもので、どちらが悪いという訳ではないんだ。

 どんな人生であれ、単なる経験でしかない。

 究極的には、体験は物理世界の肉体に流れる単なる電気信号でしかない。

 そこに、善い・悪いはないのだ。

 

 それでも、宇宙には『生命の生成と拡散』というひとつの方向性がある。

 どのような過酷な環境であっても、生命は発生し、存続し続ける。

 なぜだろう?

 宇宙は魂を通して体験を欲している。

 人類は、いや生物は、その体験を宇宙へ送り届ける関門だからだ。

 宇宙は生命を創造し、生命で満たそうとする。

 その宇宙の方向性の中で、その物質世界・有機生命体を通して、我々の魂は体験を積み重ねる。

 物理の体を持ち、物理の世界を、その物理振動の波の中を泳いでいる。

 感覚器官を通して自然界の発する信号を、生命体同士が発する振動を受け取り続け、発振し続ける。

 

 マックス、君は以前に「魂は空に昇るのか」とたずねたね。

 おそらくこの星の魂は、いづれ重力から逃れて他天体へと向かう。

 そうして他の惑星での魂と、それぞれに宿した情報を互いに交わし、生命の振動と体験のネットワークを広げてゆく。

 生成し、拡散し、繋ぐ、それが宇宙の目的だ。

 怒りも悲しみも、人生において味わうべき感情だ。それでも笑う事や、安らぐ事が、人体の免疫を活性化し、生命体に活力を与える事が判っている。

 ならば、その喜びと安らぎの交歓こそが、宇宙の方向性に合致していると言えるんじゃないだろうか。

 かつてSF作家が描いたように、我々の意識はシリコンチップに収まったりしない。交歓の振動を発し、受け取る有機的な肉体を以て、それを叶えるんじゃないだろうか。

 だから我々は、新しく受肉する魂が笑顔で安らいで過ごせるような、そんな世界を実現すべきなんじゃないだろうか。

 

 ある知性がそんな宇宙の姿を望んでいるとするなら、それこそが我々が『神』と呼ぶ存在なのだろう。

 輪廻する魂は、その新しい受肉の境目で『神』から、インタビューを受ける。

 投げかけられる質問はひとつだけだ。

「今回の人生で、他の人に優しくできましたか?」

 返答がイエスでも褒賞はなく、ノーでも処罰はない。

 ただ、「次の人生では、もっと優しく出来るといいですね」、そう言われて、新たな肉体に、新たな人生に送り出してくれるだけだ。

 神の前では、輪廻のシステムの中では、殺人者ですら生前に過ちを犯した哀れな御霊(みたま)なんだよ。

 

 マックス、以前にインナージャッジは劣等感を糧に生き長らえている、と告げたのを憶えているだろうか。

 その劣等感を更に源流へと辿ると、それはひとつの肉体が終わる事への怯えであり、同時にこの物理世界に生まれ、生きる事に対する怯えだ。

 その怯えが、宇宙のもうひとつの方向性である、破壊・消滅の推力となっている。

 太古の民は、『生・LIVE』の反対の方向性を『悪・EVIL』と名付けた。

 『悪』は、ただ『怯え』が、形を変えただけのものなんだよ。

 もしかすると、インナージャッジがはびこり、この星は壊滅する未来を迎えるかもしれない。

 物質世界が滅し、魂の体験の場もなくなってしまうのかもしれない。

 正と邪、光と影、アートマンとブラフマン、太古から語られていたこの2つの方向性の相克も、やはり宇宙の本質であり、単なるサイクルに過ぎない。

 破壊と創造を、宇宙は呼吸のサイクルのように繰り返す。

 例え将来、生命がこの地球から絶えてしまったとしても、魂の体験の為の有機体が全て失われてしまったとしても、物質が全て形を失い、エネルギーの海の中に沈んでしまったしても、宇宙はまた最初からやり直す。

 いつか、魂存在が肉体を持って天体の間をネットワークで結ぶまで、宇宙が生命で満ちるまで、そこに到達する為に、何度でも何度でも『神』は、忍耐強くトライし続けるだろう。

 『神』から人間に与えられた演繹法・三段論法は、エゴの増長という誤った使い方ではなく、宇宙の方向性に沿う深い知性の為に用いらねばならないはずだ。

 

 今、またフクロウの鳴き声が、窓の外から聞こえ来た。

 リリス博士は自分の年齢を想った。

 この遁世的な暮らしを選ぶには早かったのかもしれない。

 どのような感情であれ、どのような経験であれ、それはただ味わうだけのもの。

 妻と死に別れ、子には距離をとられても、そのような人生であると受け入れるしかないのだろう。

 そこには善いも悪いもない、ただそのような人生を送ったという体験が残るのみだ。

 それでも、あの少年がこの家に笑顔を運んで来てくれた。

 宇宙の生成・拡散の方向性を、私の手元に運んできてくれたのだ。

 一度は消滅の方向性への抵抗を諦めていた。こんな自分にも、まだ世界の為に、何かが出来るのかもしれない。

 この地球という魂の体験の場が、この先も続くように。

 その宇宙の方向性に、もう一度、加担してみよう。

 その先にはきっと、現代の我々が想像もできないようなゴールがあるのだろう。

 

 リリス博士は、先ほど下書きフォルダに収めたメールを再度開くと、最後にもう一度目を通した後に、送信ボタンをクリックした。

 それが、自身にどんな結果をもたらすのかを気付かぬままに。

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