第11話 正しさに紛れた真実
ダンッ!
クロノスが放った巻き戻し《タイムキャノン》が当たる音だ。
バタンッ!
そこには刻一刻と体が幼児退行している、
"ヴァン"
が倒れていた。
「キャーーー!
なんで私を庇うのですか!?」
アマテラスがもう泣き崩れるというよりかは泣き倒れるかのような勢いで床に這いつくばっている。
「な、なんでお、お前が、、、お前ごときが、、、人を助けるんだよ、、、ッ」
「そ、そんなの僕にもわからないさ、、、
でもこれだけは言える。まず、
"君は正しい"
君は僕を殺すことに命をかけて、それを実行した。
自分の信じたものを貫き通したんだ。
僕はそれを支持するよ。
でもね、、、もう少し、、、周りを見渡して欲しかった、、な、、、」
ヴァンがそう呟いた、その時、
「え?」
クロノスの右腕が
ポンッと一瞬にして消えてしまった。
続け様に右足も消える。
しかし、クロノスは叫び声も上げない、痛みはないようだ。
「どういうこと、、だ?
、、、アハハハハハハハハハハ!!!
なるほどな、、、僕の10年という時間を奪ってきた疑問がたった今一本の糸で結ばれたよ。
、、、僕が生きていた理由、、、
それはヴァン、君が未来で僕だけを父親から助けていたからだったのか、でも君がいなくなれば僕もいなくなる、、、もう、、、
笑えるなぁ。」
そういい放ったクロノスの目には涙すら出ておらずただひたすら上を向いていた。
一方、ヴァンはもうピクリとも動いていない。
「僕が今までしてきたことは、、、
もう、、、ただの八つ当たりだ、、、
最後くらい、、、僕の物語の最後くらいは僕が終わらせたい。
これは僕としての
"後始末"だ。
クロノスがそう呟いた、次の瞬間、
べちゃッ
クロノスが上から落下してきた。
いうまでもないがクロノスは肉片となっている。
(俺は何も出来なかった。
いや正確には助けることはできた。
でも、、、
こいつが死ねば、、、とか思ってしまった。
自分の心の弱さに甘えたッ!)
「キャーーー!」
「なんだこれは、、、」
周りで見ていた奴らがざわつき始める。
そんな時も束の間、間髪入れずにまたあの放送が入る。
「終了〜〜〜!!!
今この瞬間にルール規則の二人が死亡したため、第一げぇむ、魔女狩りを終わりとしまぁす!!
気になる、結果は!
自警団団長であり、教師のガイラ•エリーニュ
幻の魔法使いであり、時空魔法の使い手である、アル•クロノス
の両者2名が死にましたぁーーー!!!
結局、二人とも理由は違えど自殺でしたねぇー!
まぁよって、現在は総勢14名となっています!
そして、これからみなさんには怪我の治癒と次の会場に移動していただきまぁす!」
パチンッ!
(怪我の治癒だと、、、!
だとするとヴァンは!?)
気がつくと俺たちはそれぞれ、まるで"グリム童話"に出てくる登場人物のような服装を着せられ、まるでグリム童話のような森に召喚されていた。
「ん?ああ、僕、、、まだ生きてるのか、、、な?」
そこには五体満足でピンピンしているヴァンが立っていた。
(しかし、それと同時に俺たちが完全に奴の手中に収められてるってことかよ。)
「お、顔見知りが生きていてよかったよ。」
俺は内心少し嬉しいのを隠して平静を装い話しかける。
それとは、対照的に聖女は酷くやつれていた。短時間でここまでやつれているのは聖女の感性が敏感なせいだろう。
「ここで一回、休憩タイムを挟みまーす!
時間は15分でぇす!
よーい、スタート!」
シーン...
誰も何もする気が起きない。
というよりはみんなそれぞれがそれぞれを牽制しているという感じだ。
「ひとまず、自己紹介からでも始めないかい?」
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