第10話 真意
クロノスはヴァンの前に一瞬で移動すると、
ヴァンのお腹を思い切り蹴飛ばした。
「グハッ!!」
ヴァンは空中へ舞い上がる。
「ちょっと、このくらいで死なないよね?」
冷徹な表情を浮かべるクロノスは問いかけた。
「なんで、僕の家族を見殺しにしようとするんだい?」
「君の家族?アル家はこの私の家である、ギルガメッシュ家と対等に渡り合う唯一の魔道一族だ。
しかし、そんなアル家の人間が死んだというのは聞いていないんだけどなぁ、、、」
ヴァンは蹴られた反動で空中に上がったが、その勢いのまま空中浮遊を続けていた。
「ふーん、まぁいいかな。
少しだけ自分語りをしようか。
僕はアル家の一人息子アル•クロノスだ。
それも10年後の未来から来た、な」
(10年後!?どういうことだ、、、
この時代、タイムトラベルは無理だと断言されているはずだ、、、)
周りが静寂に包まれる。
「アハハハハ!!
なるほどね!話の全貌が見えてきたよ。
つまるところ、将来僕が父親の命令で君の家族を粛清する、、、この復讐を過去に戻ってしてきている、って言う感じ?」
ヴァンは妙に飲み込みが早い。
「ああ、僕は10年後、一人地下で幽閉されながら、復讐と家族を助け出すという希望を元に時空間魔法である、
お前が終わったら、お前の父親にも挨拶をしに行くよ。」
「しかしなぁ、父が粛清する時は一家惨殺だ。
君が生きている理由がわからない、、、」
ヴァンは小声で呟く。
「俺はそんなことどうでもいい。
時空魔法、
ドンッ!!
ヴァンが瞬間移動で空中に現れたクロノスに蹴られて地面と衝突した。
「アハハハハ!!!
魔塔のヴァンもこんなもんか」
クロノスも地面に降りてくる。
しかし、ヴァンは地面とぶつかる瞬間に防御魔法を展開してダメージを軽減していた。
「僕は逃げ回ることしかできない。
でも、君の魔法は僕を逃してくれない、か」
ヴァンはニヤーとニヤついた。
しかし、その笑みにはどこか申し訳なさがあるように思えた。
「それなら、僕も同じことをすればいいだけだ。
ヴァンは一瞬でどこかに消えたかと思ったら遠くの方で一回現れて、また戻ってきた。
「いやー、この能力はとてつもないねぇ。
その空間に行く、という魔法と時を飛ばすという魔法を掛け合わせてるのかぁ、、、
復讐のためにしては随分と手が凝ってるよ!
流石は魔法の名門が人生をかけて作っただけある、、、」
「ッ、そんな復讐ももう終わらせる。
「なら、、、こっちも
シュンッ、シュンッ、シュンッ、
(二人とも現れたり、消えたりしている、、、こんな戦いどうやってついていけばいいんだ!)
「フハハハハハハ!!!
復讐って言うのはこのぐらいな噛みごたえがなきゃなぁ!!!」
クロノスの発言に対してヴァンが反応する。
「しかしなぁ、信徒に自分からなって僕を攻撃しようとするとは、君は元からなかなかにクレイジーなんじゃないかな!」
「なんで、そんなことをお前に言わなきゃいけないんだよ!
僕は正しいんだ!!僕は正しい!」
一瞬だけ見えたクロノスの顔には涙が流れていた。
そして、二人の動きが止まり、姿が見えるようになり、二人は向かい合わせになっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、
腐り切っても魔塔の息子か、、、
それなら、こっちも本気で行かないといけないみたいだ。」
ヴァンの顔にはニヤつきと焦燥感が合わさっている絶妙な顔をしている。
「時空魔法、巻き戻し《タイムキャノン》!」
そういうと、クロノスは手からビームのようなものを発射した。
ヴァンはギリギリで横に向き回避する。
「危ないねぇ、クロノス君!」
クロノスは説明を続ける。
「このビーム当たれば一気に胎児へ時間が巻き戻り、数十秒で死ぬ。」
「へぇ、それは怖いねぇ。一発でアウトの魔法か、、、」
二人ともまた戦う構えを見せる。
「時空魔法、巻き戻し《タイムキャノン》!」
その時ッ!
さっきまで絶望して、座っていたはずの聖女が走ってきた。
「おやめください!これ以上の戦いは、、」
「おい!クソッ!避けろぉぉぉーーー!
僕はお前に攻撃はしたくない!」
「え?」
ダンッ!
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